数回の瞬きの後、ミヤビにとっては当たり前の事を聞かれて困り、小さく頷いた。
その様子を見て、バケモノは口角を上げる。
「……妖精じゃなくて呪いの樹霊。名前はアルラウネって言うんじゃない?」
楽しそうだった口元の笑みは消え、無表情で赤野を見る。
「違うよ!よーせいさんだもん!私のお願い事叶えてくれたもん!」
口を開かないバケモノの代わりにミヤビが必死に否定をするが、赤野は首を振る。
「アルラウネは美しい女の姿をした悪い花の樹霊。本来、無実の男性死刑囚が処された血や涙から生まれるんだ。どうしてここに居るのかは分からないけど、君は騙されているんだよ。そいつは妖精じゃなくて……悪魔だよ」
ミヤビの瞳は不安と戸惑いで揺れていた。
「うそよ……そんな……それじゃ、本当に……本で読んだことある、あのアルラウネなの……?」
私はアルラウネという名をどこかで聞いた事があると思っていたら、青い扉の部屋で少しだけ読んだゲルマン神話の事だと思い出す。



