湿った血生臭い土を踏みながら、ゆっくりと斜めに続く穴を下り進んで行く。

虫も住み着かない土を、足でぬかるんでいないか確認しながら前進して行くと、血生臭さに混じって微かに甘い香りがするのに気が付いた。

「何の香りだろ……」

赤野は鼻をひくつかせる。

「バラかしら?」

だんだんと強くなっていく香りに、私は誘われる様に進んで行くと、香りに気を取られて足元を確認しなかったせいで柔らかな土の上を踏んでしまった。

「きゃッ!?」

「危ないッ!!」

助けようと私の手首を掴んだ赤野を道連れに、私たちは深い穴の底に落ちてしまった。