「にッ逃げなきゃッ!!」

巨大な黒バラを取り巻くイバラが地面を叩き、砂埃を立てる。

暴れる巨大な黒バラを背に、揺れ続ける地面を這って距離を取る。

巨大な黒バラが落ち着くまで、屋敷の中で隠れていよう。

隠し扉を目指して、ばたばたと足を動かすが、足が上手く動かず前に進まない。

早く逃げなきゃ!殺されるッ!動け!動け俺の足ッ!!

グウェェェエエエエッ グウェッ!

苦しそうな呻き声が止まると、代わりに爆発音が耳を刺激した。

地面を這う手を止めて、反射的に振り返る。

「えっ!!」