甘い香りの部屋を出る。 相変わらず廊下は静まり返っていた。 耳を澄ませるが、甲冑の足音は聞こえてこなかった。 不気味に思いながらも、俺は向かいの扉のドアノブを握り締める。 塚本さんが隠れていた子供部屋だ。 折笠さんは勉強部屋と呼んでいた。 俺はドアノブを回し、ゆっくりと扉を開けた。 この部屋の様子も変化は見られなかった。 勉強机に隙間無く本が並ぶ本棚、部屋の隅に置かれた油絵。 塚本さんが寝ていた床に白いシーツが落ちていた。