俺はどの部屋に指示が書かれた紙があったか、はっきりと覚えていない。

なので行方不明の折笠さんと指示紙を探すために、一部屋ずつ扉を開ける事にした。

まずは甲冑によって扉が破壊された甘い香りのする部屋に入る。

折笠さんの姿は無かった。

部屋を見回し、ここには指示紙が無かった事を思い出す。

クローゼットが動いたことで出現した青い扉も開けてみる。

この小部屋にも折笠さんの姿は無い。

扉の所から小部屋を見回しても、千切れた縄梯子と閉ざされた天井扉、そして見開きになったままの日記だけで、指示紙は最初から無い。

俺は小部屋から出て、後ろ手で青い扉を閉めようとして、違和感を感じた。

机の上にある日記は見開きに“なったまま”だっただろうか。