『迷子になっちゃったよ……』

お母さんの言う通り寄り道なんてしなければ良かったと、少女は泣きべそをかいていた。

今から少し前、少女は母親と手を繋いでいつも行くスーパーへ、一人で行っていた。

母親にお使いを頼まれたのだ。

帰り道を歩く少女の手には、真っ赤なリンゴが4つ。

重たい買い物袋をしっかりと持って歩いている少女の目の前に、一匹の子猫がこちらを見つめて座っていた。

『あぶないよぉ?』

少女は道路の真ん中に座る灰色の子猫に話しかける。

ミャァー……

子猫は少女の声に応えるかの様に高い声で鳴いた。