カシャ……カシャッ 甲冑が足を止め、必然的に私の体の揺れは治まる。 グワァァァアアアアア 生暖かい空気と共に血の臭いが辺りを包み込む。 それを感じ取った時には、私の体は宙に浮いていた。 甲冑が私を放り投げたのだ。 地面を見下ろすと緑色のイバラの絨毯ではなく、真下で巨大な黒バラが大きく口を開けていた。 そして私は悲鳴を上げる間もなく、雛鳥の様に口を開けて餌を待っているバケモノに飲み込まれた。