赤野が手を伸ばしながら私の名前を叫んだが、私はそれに応えられなかった。
カシャ……カシャ……カシャ……
体への振動と甲冑の足音で目が覚めた。
がっしりと甲冑に腹を抱えられ、二つ折りになった体は地面から数cmの高さで揺れていた。
霞む視界には緑色の絨毯が広がり、黒い斑点が沢山見られた。
ここは……。
徐々に鮮明になり始めた視界で、それが地面を覆うイバラと咲き乱れる黒バラだという事が分かった。
ここは外?
あんなに遠かった地面が文字通り目と鼻の先にある。
意識が朦朧とする頭で逃げなくては、と考えるが体がぴくりとも動かない。



