赤野は自信満々に口角を上げ、ワイシャツに包まれた私の左肩を見つめる。
「あ、ポケット……」
私は視界の右端に、脱ぎ捨てていた左袖の無いジャケットを見て思い出した。
ボロボロのジャケットを持って行くつもりは無いので、今まで見つけたアイテムや私物をポケットの中から回収しなくてはならない。
しゃがみ込み、右手でポケットの中身を取り出し床に広げていく。
ラップで包んだクッキー、一本だけ入ったマッチ箱、スズランの毒が入った丸い香水のビン、使用済みのアンティーク調のカギ、役立たずのスマホ、胸ポケットに挿していた黒バラ。
クッキーとマッチ箱と毒のビンは赤野に渡した。
私は黒バラをワイシャツの胸ポケットに挿し、二宮の形見である砕けた骨と破れたスーツの切れ端は、そっとスラックスの前ポケットにしまった。
アンティーク調のカギはもう必要ないので、左袖の無いジャケットの上に捨てると、赤野も同じ物をポケットから取り出して投げ捨てた。
「脱出のカギになりそうなのは、これくらいね」



