私の血で濡れる切り落とされたイバラの先端を見て、安堵の溜め息を漏らす。

「はぁ……」

「さすがに抱えては下りられないから、背中支えるよ」

赤野はナイフを床に投げて私の左側に立ち、抱くように背中に腕を回してくれた。

「ありがとう」

私は赤野の手に甘え、ゆっくりと一歩ずつ下りて行く。

床に足を付け、鉄梯子の近くに散らばるハンカチとナイフを見つめる。

ハンカチは私の私物でナイフの刃を包んでいたものだ。

そしてそのナイフは私のウエストに差して、背中に忍ばせておいたはず。

肩の痛みが強かったとはいえ、ナイフを抜き取られた感覚は無かった。