「離しなさい。でないと手の平に穴が開くわよ」
バケモノへの殺意を宿した目で赤野を睨むが手を離そうとはしなかった。
「5、6発で倒せる相手じゃないと思うよ?」
睨み返してきた赤野に苛立ちを覚えたが、倒せなかったら死ぬのは私だけではない。
バケモノを倒すのは赤野を脱出させた後にしよう。
「でも二宮を食い殺したバケモノが目の前に居るのに、見なかった事には出来ないわ」
何もしないで踵を返すのは御免だった。
「殺すのは今の時点じゃ無理なのは分かってる。だけど一発だけお見舞いしてやる」
「その一発で何が起きるか分からないよ。バケモノがイバラで襲い掛かってくるかもしれないし」
「赤野君は先に下りてて」
私は赤野の忠告を聞かず、彼に身勝手な指示を出す。



