私の後ろを赤野がついて来る。

長い階段を登り切ると、開けた空間にぽつんと、鉄梯子が床から天井に伸びていた。

「わざわざカギを掛けたわりには……って感じだね」

赤野が残念がるように部屋を見回す。

「扉の先が重要なのかもしれないわよ?」

鉄梯子のある部屋の左右の壁には、黒い一枚扉があり、どちらもバラの紋章が刻まれていた。

「カギは掛かってるのかしら……」

左右の扉を交互に見つめる。

「それじゃ、俺は左の扉を見てくるよ」

「分かったわ」