私は重たい倉庫錠に手を添えて、ポケットから取り出したアンティーク調のカギを鍵穴に挿し込む。

カチッ……

倉庫錠の三本目の芯棒が外れた。

私はアンティーク調のカギを挿したままの重たい倉庫錠を黒い扉の脇に置き、取っ手に巻き付いている鎖も外して倉庫錠の上に落とした。

「この扉が、最後の扉だと良いんだけどな……」

赤野が右側の取っ手を両手で掴む。

「そうね。この部屋の仕掛けを解いて玄関が開いてくれれば……」

私は左側の取っ手を左手で掴み、その上に右手を重ねた。

「開けるわよ?」

私の問い掛けに、緊張した顔の赤野は頷いた。

両手に力を込め、黒い扉を押し開けた。

ギギギギギギギギギィ……