血を含み、赤黒くなった布切れは、文字なのか絵柄なのかは分からないが、若干の色の違いがあった。

その場では薄暗くて見難かったので、背後にある壁のくぼみに置かれたロウソクに近寄る。

すると布切れの表面には文字ではなく、絵柄が照らし出された。

小さなスペードとダイヤのトランプを連想させる絵柄だった。

どこかで見た事がある様な気がするのは、ありきたりな絵柄だからなのだろうか。

『下ろし立てなんスよね……』
『そんな派手なスーツを仕事で着て来なきゃいいのよ』
『え?俺の中では小さいハートとかスペードの絵柄だし、結構地味な方なんスけどね』

「ッ!?」

思い出した!!

この布切れは、二宮のスーツの切れ端だったのだ。

「そんなッ……」