「な、なにこれ……」

一瞬だけでは何が天井からぶら下がっているのか分からない物が、私たちの目に飛び込んできた。

イバラが網の袋となり、その中には罠に掛かった獲物の様に血の滴る赤黒い肉の塊が納まっていた。

その塊は原型が分からないほど、ぐちゃぐちゃの状態だった。

よく見れば白い粒がぐちゃぐちゃの塊の中に散らばっている。

私はゆっくりと部屋に足を踏み入れ、謎の塊に近付く。

磁石が同極の磁力を拒む様に、私の本能が謎の塊を拒んだが、私はそれに逆らって前に進んだ。

「……きっと、骨だわ」

網の隙間から見える白い粒を摘み取り、指の腹で転がすと粉々に砕かれた骨だと分かった。

骨によっては大腿骨など、簡単には砕けない部分の骨がある。