血生臭いニオイがすると分かっているだけに、扉を開けるのを躊躇ってしまう。

「開けるわよ、準備は良い?」

赤野は服の袖で鼻と口を押さえて首を縦に振る。

ハンカチはナイフの刃を包んでいるので、私もジャケットの袖で鼻を覆う。

「ふぅ……」

深呼吸をし、意を決してドアノブを掴む右手に力を入れた。

ドアノブを回し、扉を押し開けると覚悟していた激臭が私たちを襲い、思わず手が止まってしまった。

「早く調べて早く出よう」

赤野の言葉に頷き、私は一気に扉を押し開けた。

「ッ!?」