私と赤野の顔の間には銀色に輝くナイフが刺さっていた。
甲冑が扉を突き破って来た事を思い出し、どこに逃げれば良いのか考えたが、イエスはナイフを突き刺したきり静かになった。
「しつこくなくて助かった……」
赤野が安堵のため息を漏らす。
軽く上がった息を整え、扉から体を離す。
「さぁ、行きましょ」
「うん」
赤野も扉から体を離し、私の後に続いて歩き出した。
「きっとここが開いたのね」
西側の扉の前に立ち、カギが開いたのかを確認する。
予想通りドアノブは最後まで回ったので西側の扉を通り過ぎ、赤野が登ってきた階段がある南側の壁と向かい合う位置に構える黒い大きな扉の前に立った。