正面の壁には、同じくダ・ヴィンチの『モナ・リザ』『受胎告知』『聖アンナと聖母子』『白貂を抱く貴婦人』など、私でも名前が分かるほどの有名な作品たちが壁を埋める様に天井近くまで飾られていた。
左側の壁には『荒野の聖ヒエロニムス』が拡大され、最後の晩餐と同じくらいの大きさになって飾られていた。
扉がある壁側にもダ・ヴィンチの物と思われる作品が並んでいた。
おそらく名前の分からない物や見たことの無い物も全て、ダ・ヴィンチの作品なのだろう。
「気味が悪いね」
「そうね、普通の絵が一枚も無いわ」
部屋を見回したが、沢山ある作品は全て両目が黒く塗り潰されていた。
「……ねぇ」
壁に飾られた絵画を見つめていると、赤野が肩を叩く。
振り返ると、赤野は私に白い紙を手渡した。



