「とりあえず、ここに液体は無いし保留ね」

私は萎れている黒バラを見ながら言った。

私たちは甲冑の足音に気を付けながら花瓶の部屋を出て、反時計回りに歩き、北側の部屋の扉に手を掛ける。

カギは掛かっていなかった。

扉を開けると、広々とした空間が広がっていた。

花瓶の部屋も広々としていたが、物が少なく殺風景な部屋だった。

それに比べて北側の部屋は、美術館の様な部屋になっていた。

大小様々な大きさの額縁に入れられた絵画が四方の壁に飾られ、風景画は無く全て人が描かれている。

それらの絵画は、ルネサンスの三代巨匠であるレオナルド・ダ・ヴィンチの作品のレプリカが目立っていた。

扉から見て、右側の壁には『最後の晩餐』が巨大な額縁に入れられ飾られていた。