一階で花瓶に水を注いだ時、黒バラは瞬く間に枯れてしまった事を思い出す。 「じゃぁ、水以外を注ぐって事になるわね」 「……でも、何を……」 「何って……」 赤野の疑問に、一つだけ予想が出来た。 険しい顔を見る限り、赤野も同じ予想が出来ているのだろう。 でもそれは決して正解であってほしくないものだ。 「……私たちの体を傷付けて、ここに血を注ぐのよ」 「……血は水以外の液体だもんね」 赤野は納得しながら、手の甲に浮き出ている血管を見つめる。