血だまりの少女


赤野が指差した壁に視線を向ける。

最初にこの食堂に入った時は何も無かったはずだが、赤い扉の隣には指示の書かれた紙が貼られていた。

【お行儀良く】

「これに気付いた時には既に塚本さん食べ始めてたから……」

この貼り紙を見つけていたら、塚本は死ななかったかもしれない。

二階の青い扉の部屋で、私と赤野はマナーについての本を読んでいた。

「コース料理は順番に運ばれてくるけど、ここには既に料理が並んでた。だから自分たちで料理を選ばなくちゃいけなかったんだ」

「もしくはちゃんと座って食べればよかったのかもしれないけど……じゃぁ、最初に手を付けるべきだったのは前菜?……いや、ワインだわ」

このテーブルにはワインとコーヒーがあるが、コーヒーは食後に飲むものなので、一番最初に口を付けるのはワインになる。

塚本の死体は痙攣を繰り返し、やがて動かなくなった。