私の質問に答えながらも、呼吸として美味しそうな匂いを吸い込み、視線は一瞬も私と交わる事無く廊下に向けられていた。

この屋敷は、姿形を変えるのだろうか。

「早く食堂に行きましょう」

塚本は私を押しのけ扉を開けると、勝手に1人で廊下に飛び出してしまった。

「あっ!ちょっと!!」

私の呼び止めも聞かずに、一階へ続く階段を駆け下りて行ってしまった。

「1人になったら危ないって話をしたばっかなのに」

赤野が呆れた声を出す。

「とにかく私たちも食堂に行きましょ」

私と赤野は開いた扉から廊下に出る。