「スズランには毒が含まれているみたいで、花びらを水に浸してるだけで毒薬が作れるみたい。浮遊物がスズランじゃなくても、きっとこの小瓶の中に入っているのは毒を持った何かの花びらね」

塚本は短い腕を伸ばし見開きになった本を拾い上げ、スズランの記事を読む。

「それ、持って行くの?」

赤野の言葉に私は黙って頷いた。

「何かに使えるかもしれないし」

私は丸い香水のビンをジャケットのポケットに入れた。

【毒入りの香水のビンを手に入れた】

かさばってしまうが、手で持って行くよりは荷物にならないだろう。

念の為、ドレッサーの上に置いてあるマニキュアの蓋を開けてハケでかき混ぜてみるが、ドロッとした液体が入っているだけで、本物のマニキュアのようだ。

この部屋はもう調べる所は無さそうだ。

「さぁ、真っ暗な部屋を調べに行きましょう」

私たちは調べる事を後回しにしていた真っ暗な部屋に向かった。