勉強部屋で見つけたカギは、やはり向かいの部屋のカギであった。

扉を開けると、甘いフルーティフローラルの香りが私たち三人を出迎えてくれた。

「……良い香り」

天井付きのベッドは薄いピンク色のシーツに包まれ、白い大きなクローゼットや大きな鏡のドレッサーなどから若い女性が使っていた部屋だと分かる。

ただ、この屋敷は廃墟だと思っているので、部屋の中が綺麗なことや甘い香りがするのは不気味に感じる。

それに、この優しげな雰囲気の部屋に似つかわしくない黒バラが一輪挿さっている花瓶がドレッサーとベッドの隣の白いサイドテーブルに置かれているのも気味が悪い。

私は最初に目に付いたドレッサーを調べることにした。

赤野はクローゼットを、塚本はベッド付近を調べ始めた。

金色の猫足が可愛らしいドレッサーの大きな鏡は手垢や埃などの汚れは無く、不自然なほど綺麗に磨かれていた。

ドレッサーの上にはマニキュアやヘアブラシ、香水や化粧品などが並んでいた。