「――…あ」

なんとなく
沈黙になってしまった

「あっ牧野君!
テーマは人魚姫
なんだけど、
どうかな?」

クラスの女の子が
顔をほんのり赤らめて
隼人に話しかけていた

「…うん、いいじゃん」

隼人はちらっと
私を見て軽く笑った

その女の子は嬉しそうに
ハシャイでいた

「なんか……
牧野君ってさ、
強引に好きな人
手に入れるんじゃなくて
遠くから、だけど
ストレートに
気持ち伝えてくるよね」

有紗が横から
話しかけてきた

『そうだね…
私には彰だけって
言ってるのに』

「隼人君にとっても
奈々だけなんだよ」

『―――…っ』

なんだか有紗の
その言葉に動揺
してしまった

人を好きになるって
確かにそういう事…
相手に一番が居ても
自分にとっては
その人しか見えないんだ