~羽瑠姫~
電話がかかってきたんだ。
『羽瑠姫、今のままでいいのか?』
「え...?」
『闇討ち、そろそろ終わらせた方がいいぞ。』
「ねぇ、誰?」
『お兄ちゃんだよ。』
「おに、ちゃん?」
『あぁ。お兄ちゃんだ。』
「お兄ちゃん、闇討ちの犯人も分かんないのにどうしたらいいの?」
『彼氏には?頼ったか?』
「頼りすぎた。」
『お前の頼る、は意味が違うようだ。とにかく、相談してみろ。抱きついて上目遣いで、どうしたらいぃ?って。』
「んー....分かった。」
『えらいえらい』
「へへへッ、あ、お兄ちゃん、何かあったら言うんだよ?」
『ハイハイ』
「てかさ、なんでボクの電話番号知ってるわけ?」
『情報屋ナメんなよ?』
「ハイハイ。じゃあね。」
『じゃあな。』
とか言って二人とも電話を切ろうとしない。
「お兄ちゃん、会いたいよ....。」
『今はまだダメ。いつか会ってギューてしてあげる。』
「やったぁ。.....ねぇ、お兄ちゃん?」
『ん?』
「絶対....死ぬなよ。」
ヤクザの情報をもってるお兄ちゃんまで狙われるから。
『死ぬかよ。馬鹿。』
「ん。じゃあ、次こそ切るよ?会合の時間。」
『バイバイ。』
そこで聞こえた銃声のような音。
多分、危ない場所にいるんだろう。
コンコンっ
「はい」
「お嬢、着替えました?」
「ねぇ、いつも誰が服決めてるの?」
「裕大ですよ。」
「....そう。じゃあ裕大に言っといて。ボクに似合う服を選んでほしいなって。」
「?なんか分かんねぇっすけど分かりました。」
服を着替えた。なんかね、いつも乙女みたいな格好だよ。
今日は白のワンピースにニーハイ。白っぽいピンクのパーカーだ。
会合のある部屋に行こうとすると中から聞いたことのない声が聞こえた。
「お嬢さんはどこにいるんだよ?」
「お嬢?気安く呼ぶなよな。」
「汚れんだよ。」
ガチャっ
「ボクに用事があるのならば聞こう。ただ、そこまで時間は取れない。」
「殺人鬼。本物だ。」
「あぁ?」
パパを止めた。 
「俺の組に入らねぇか?大切にしてやるぞ?西条なんかよりも。」
「いらねぇ。ボクは人の愛情は受け取らない。」
「それはただの逃げ道だろうが。」
「逃げてるよ。それが悪い?他人には関係ない。それに、西条や、その同盟組以外の組はいらないから。」
「そーか....。後悔することに......」
押し倒して顔の横にナイフを刺した。
「ねぇ、仲間の匂いがする。」
「....」
顔真っ赤だ。
「答えなきゃ.......」
起こしてナイフを顔の前で止めた。
「殺すよ。そうだよ。ボクは殺人鬼。だから人なんて簡単に殺せる。抵抗がない。」
「...俺が天龍や雨龍や青龍をやった。」
「そう。じゃあ痛い目みるんだね。」
「お前が悪い。」
「裕大、そいつ連れて行って。ザコを相手にする暇はねぇんだ。」
「了解でーす。あ、お嬢、服、似合ってますよ。毎日。」
「...黙って連れてけ。」
「その殺気、俺には効きませんが?」
「生意気な事言いやがって。さっさと戻れ。」
「お嬢、怒ってます.....?」
「女子であるボクより可愛いのは反則だろ。」
「お嬢は無自覚ですからね.....。」
「あぁ?」
「ハイハイ。」
「ムカつく。あ、裕大」
「はい?」
「仕事をあげる。」
「ホントですか?!」
「ん。ボク、疲れちゃった!コレを頼めるかしら?」
「はい!初仕事頑張ってきます!」
「6時くらいにね」
「はい!」
可愛いく笑って出て行ったから自分の席に座った。
「初仕事、どうせ見に行くんだろ?」
「実力、試すだけだよ。」
「お嬢、闇討ちの犯人って....。」
「らしいね。」
「らしいね、って.....「まぁ、君達の総長はボクじゃない。ね?弥生。」
「.....。」
「弥生も、坂下も、ボクと同じ総長だろ?」
「そうだな。お前は?どうする。」
「ボクは、潰されるより潰す方が好きなんだよ。」
「そうだな。」
「下手すりゃ...仲間は死ぬかもしれねぇな。相手はヤクザだ。それも、奥手のな。」
でも、決めてるんだ。
「仲間は殺させない。」
たとえ自分が死んでも。