~弥生~
朝目を覚ましたら昨日俺の腕の中にいた羽瑠姫がいなかった。
「羽瑠姫っ!」
焦った。
『弥生へ
おはよ
喧嘩じゃないから心配しないでね。
羽瑠姫より』
お前男に触られたらダメなんだろ。
「ちょっとは自分の事考えろよっ!」
電話をしようとしたが親父に拉致られてできなかった。車の中でスーツに着替えさせられた。
「俺、羽瑠姫探さなきゃなんねぇ!」 
「心配しなくても青龍も天龍もいる。羽瑠姫もな。」
ついた場所は花畑みたいに花束がたくさんあった。
水仙組やその同盟組。西条組やその同盟組。
同盟組の若の青龍と天龍。
広い墓場だ。
全員スーツだ。俺もな?
羽瑠姫以外。
「毎回、皆来てくれてありがとう。」
「樹王騎さんにはお世話になりましたから...。」
俺と羽瑠姫と誠と聖夜と聖斗と聡と親父達が残った。
「パパの命日。毎回同盟組は来てくれてさ。パパは寂しくないね。」
『水仙家』
そう書かれている。
「パパ、大輝と仲良くしてるんでしょ?ボクだけ置いて二人でどこかに行った?」
「羽瑠姫...。」
「パパ、ボクに言ったよね。’こんな環境で産まれてしまったら辛い事多いけど楽しい事だってあるから’って。パパ、聞いて?ボクね彼氏ができたの。青龍の総長だよ?パパに憧れてるってさ。なんで青龍って初代からずっとイケメンばっかりなんだよ。今、幸せだよ。ボクを産んでくれてありがとう。」
俺は羽瑠姫の横に立った。
「夢川弥生っす。大輝さんみたいに強くなくて羽瑠姫の考えてることもたいして分からないっす。でも羽瑠姫の事は大輝さんより愛してるっす。命かけて守るっす。だから見守ってほしいっす。」
「弥生っ...」
「俺、坂下誠です。俺、青龍の副総長を任せてもらってます。えっと...俺は青龍の中で一番頼りになると思いますので羽瑠姫ちゃんを守らせてもらいます。」
「誠っ...」
「俺、大峰聡っす。女遊びして羽瑠姫を困らせる事があるっすけど、でもちゃんと守るっす。」
「聡っ....」
「星下聖夜です。皆にも迷惑ばっかりかけるけど羽瑠姫を守ります。」
「聖夜っ...」
「星下聖斗です。基本喋んねぇけど羽瑠姫が辛い時は側にいたりして支えます。」
「聖斗っ...」
羽瑠姫は隣で号泣。
「パパッ、ボクッ、強くなるからっ、見ててねッ!支えてもらったり守ってもらったりするけど、強くなるからっ、見ててねッ!」
返事をするように風が吹いた。

羽瑠姫をおんぶしてる。
まだ泣いてる。
「いつまで泣いてんだよ...。」
「聡まであんな事言うからだしぃ...っ!」
「俺らがいる。だから一人で背負うな。」
「そうだよ。自分が死んでもいい、みたいな事言わないで?」
「お前は守る。嘘はついてない。」
~羽瑠姫~
「この日は嫌いだった。何よりも。」
でもね、皆が一緒にいてくれたから
皆が誓ってくれたから
だから嬉しかった。

嫌な予感がするの。