水仙樹王騎、それは組の中で誰もが恐れる存在だった。
世界№1の組、水仙組の組長だから。
樹王騎の髪は珍しく白い髪に毛先は空色。緑の瞳。
娘もその髪の色にその瞳の色になった。
母親は気持ち悪がって樹王騎と娘を置いて出て行った。
娘の名前は
「樹扉夏、ただいま。」
水仙樹扉夏。
どれだけデカイ樹が立ち塞がっても自分の手で扉を開いて夏の太陽のようにキラキラ輝いてほしいから。
それが名前の由来だった。
「パパお帰りなしゃい!」
「組長お帰りなさい!」
「樹扉夏、皆、ただいま。樹扉夏は?今日もいい子にしてたか?」
「うんっ!パパは明日お仕事お休み?」
「あー...仕事。ごめんな?明日幼稚園休みだもんな。」
こんな家系だから甘えを知らなかった。
「ううん!皆と遊んでる!」
甘えては迷惑がかかる。
まだ、3歳なのに。
水仙組には弱点があった。
それが、娘だった。
すぐに狙われてしまう。
「パパ、ボクお風呂入ったからもうねんねしゅるね?」
「あぁ。おやすみ。俺も風呂入ったら隣で寝るよ。」
「うん!おやしゅみなしゃい!」
あたしの一人称は’ボク’だった。
側に居れなくってもパパは好きだった。
次の日
朝ごはんを食べて組員にバレないように公園に行った。
その公園は屋根の下に黒板がついていた。
『このこくばんを見たやつへんじくれ。おれは王。』
その下に
『トモダチになってほしい。』
文字が書けたあたしは返事を書いた。
『ボクのともだちになってください。』
って。幼稚園に友達はいなかった。
でも文字を消して家に帰った。
「お嬢、組長が怒ってましたよ?」
組長室に行った。
「お前、心配したんだぞ?!」
「お前って呼ばないで!ボクは樹扉夏だもん!」
「分かった...。それでどこに居た?」
「公園。」
「公園って...。怪しい人はいなかったか?」
「何かね、お家に帰ってくる時に後に人がいてね、「人?男?どんな奴だった?」
「黒いパパみたいな服着てね?背が高くて襟のところにパパみたいなヤツついてたのっ!」
「どんな?」
「しゃくらのマークに西って書いてたの!」
漢字だって読めていた。あぁ、天才だ。
「....。西条?」
「うーん...分かんない!....パパ今日はお仕事でしょー?遅刻するよ!」
「あ、今日は休んだ。明日も。」
「お仕事しゃぼったの?」
「サボってねぇしな!」
「でもパパはいつも頑張ってくれてるから許しゅね。」
「ありがとう。樹扉夏。それで樹扉夏に明日付いて来てほしいところがある。」
次の日
「樹扉夏、忘れ物はないか?」
「ないよー?」
「じゃあ、行こうか。何で行く?車?バイク?」
「パパのバイク乗りたい!」
「いいぞ。じゃあ、皆何かあったら連絡来れ。」
全員頷いてあたし達は出てパパのバイクに乗った。
「スピード出し過ぎたらおまわりさんに捕まっちゃうんだよ?」
「大丈夫大丈夫!それより、寒くねぇか?」
「うん!」
着いた先は倉庫だった。
「パパ、抱っこー!」
「少し体が冷えてる。寒かったろ?ごめんな?」
「ううん!」
ドアの隣のドアをパパが開けると
「総長、そのちっこいの誰ッスか?」
「俺の娘。可愛いだろ?」
「大輝さんと同じくらいっすか?」
「コイツ3歳。大輝は5歳だから2歳差だな」
「そうなんっすか!人形みたいっすね!」
「だろ?もう集まってんの?あいつら」
「はい。幹部室にいます。」
「そうか。今日も変わった事ないか?」
「はい。」
「じゃあ、幹部室に行ってくるから」
パパに連れて来られたのは
「パパ、あの人が昨日ボクに付いて来てた!」
「あいつは西条雅紀。」
藍色の髪の毛と瞳の人。
「パパの知り合い?」
「俺の仲間。俺暴走族って所の総長。」
「しょーちょー?」
「1番強いんだ。雅紀が2番目に強い副総長ってゆうんだ。」
「へぇ....。」
「雅紀に喧嘩で負けてるけど強いのが幹部。」
「はじめまして。城下真北‹マキタ›です。よろしくね?」
綺麗な黒髪で黒い瞳。
「まきちゃん。」
「真北だから?」
「うん。まきちゃん!よろしくね!」
「クスクスッ、よろしく。」
「俺は星下聖夏。よろしくな。」
金髪に金の瞳。
「せいちゃん。よろしくね!」
「よろしくな!」
「俺は夢川皐月。よろしくなー。」
「さっちゃん!よろしく!」
「俺様は大峰夏夜‹かよ›女みたいな名前だけどよろしくな!」
「かーくん。よろしく!」
「つか何で雅紀はこいつの事つけてたんだ?」
「あ?樹王騎が言ってたから拝見しに行こうと思ってな。その絶対的美女を。」
「まさくん。よろしくねー?」
「あぁ。よろしく。えーっと...お前名前は?」
「水仙樹扉夏。よろしくお願いします!」
「樹扉夏ってすごい名前だな。」
「パパ、あのお兄ちゃんも幹部なの?」
「あぁ、大輝?大輝は幹部じゃねぇ。王だ。」
「王?」
「青龍が絶対に守る存在だ。大輝、おいで。」
パパが手招きするとお兄ちゃんはあたしの目の前に来た。
「パパ、降ろして?」
降ろしてもらってお兄ちゃんの前に立った。
「お兄ちゃんでしょ?公園の黒板に友達になって、って書いたの。」
「じゃあ、お前か?黒板の自分の文字消したの。」
「うん。」
「俺の友達になってくれるか?」
「ボクのお友達になってくれる?」
「ちょっと待てー!」
「パパ、ボクお喋りしてるの!」
「お前達は仲間だ。友達よりも大切な存在。今日から樹扉夏は華だ!」
「俺、篠原大輝っ!よろしくな!樹扉夏!大輝って呼んで?」
「大輝、よろしく!」
「よろしく。つか、お前何歳?」
「3歳だよ!大輝は?」
「俺?俺は5歳!」
小学校になって大輝が6年の時あたしは4年だった。
皆に告白された。男子校だったのにあたしだけ入れられた。
「大輝、かーえろっ!」
「倉庫か?」
「うん!」
「じゃあ、行こっか。」
倉庫に行けば皆
「おかえりなさい!」
とか言ってくれて優しい皆なんだ。
「あ、おかえりー。」
「ただいま!」
「樹扉夏、樹王綺が総長室に来いって。」
「あ、行ってくるねー。」
部屋まで作ってくれた。
『王(大輝)の部屋』
『華(樹扉夏)の部屋』
『パソコンルーム』
『ヨガの部屋』
『本の部屋』
あたしと大輝の部屋は隣同士だった。
あたしはヨガをやっていたから部屋を作ってくれた。
大輝は親に捨てられて大輝の部屋に住んでる。
ガチャっ
「パパ、どうしたの?」
「最近、会えなかったからな。」
抱きしめてくれた。
「パパ最近、忙しいの?」
「あぁ。ごめんな?」
「ううん。大丈夫!」
「で?」
「で?って何?」
「ピアス開けたんだ?駄目って言ったのに?」
「ごめんなさい....。」
「何個?」
「右耳7つ。左耳8つ。」
「なにで開けた?」
「画鋲と釘。」
「あんまり、自分を傷つけんなよ?」
「皆と一緒がいい。」
「青龍全員ピアスの穴は開いている。入る時に開けるのが恒例だ。でも1つしか開けてはならない。開け過ぎると俺達は男だからダサいだろ?それで全員同じピアスをつける。」
そう言ってピアスをつけてくれた。
「青い龍のピアスだ。」
「かっこいぃ...。」
「それで樹扉夏はもう1つつけとけ。」
「ティアラだぁ...。綺麗!ありがとう!」
「どういたしまして。大輝もついてる。」
「一緒!」
「あぁ。あ、俺と真北と聖夏と皐月と夏夜は1週間ココには来れない。だから大輝と青龍を守ってくれるか?」
「ラジャ!」
「大輝待ってるだろ?行くぞ。」
皆と上に行った。
パパ達は荷物を持ってドアの前にいる。
「パパ、皆、気をつけてね。」
組の事でも族の事でもどちらにしろ危ない。そんな事理解しているから。
「あぁ。じゃあ行ってきます。」
「お土産買ってくるからな。」
手をふって皆は行った。
「寂しい?」
「慣れてる。」
1週間後
帰ってくる数時間前。
皆、攻められて倒れていた。
あたしと大輝は下に行ったんだ。
「大輝、どうしたらいいの?」
「お前は俺の後ろにいろ。絶対守ってやる。」
でも、あたしが人質に取られたら大輝まで倒れちゃったんだ。
「華、お前だって喧嘩できるんじゃねぇの?水仙組組長の血が流れてんだから。だから気持ち悪いそんな髪色になってんだろ?」
「髪の色を悪く言わないでっ!」
「お前は喧嘩するなっ!お前の手を汚すんじゃねぇっ!」
大輝のそんな忠告耳に入らない。
「青龍の時代は終わりだ。俺らがトップになるんだよ!」
「トップだとかそんなの知らない。でもなぁ、ボクの大切な皆を侮辱する奴は許さねぇよ!」
気がついたら当たり真っ赤だった。
「華、俺らで片付けしときます。」
「華、カッコ良かったっすよ!」
「華、ありがとうございましたっ!」
「ごめん...ホント、ゴメンっ!」
そう言って倉庫を出た。
家に帰って自分の部屋に入った。
「お嬢...喧嘩したんですか?」
「怖い....ボク、自分が怖い...。」
「誰が何と言おうと俺らはお嬢の味方っす。大切っす。」
「俺ら、下にいるっす。何かあったら来てください。」
それから少し経って一人が嫌になった。
だから、下に行って皆の中心に座った。
「ボクね、喧嘩した後こんな感情なんかじゃないと思ってた...。パパ、楽しそうに喧嘩するんだもの。」
1週間であたしの名前は広まった。
’白蝶’って名前をつけられた。
夜になれば現れて犯罪に手を出してる奴らを倒してるって。自分に絡んでくる奴らも。
この日は久しぶりに倉庫に行った。
「華、久しぶりです!」
「樹扉夏!」
皆も上に来た。
「皆、ボクを倒してほしい。」
「え...?」
「ボク、自分をセーブできないんだ...。」
「怖いのか?」
「うん。」
「礼を言う。’白蝶’。俺の仕事を減らしてくれてありがとう。それからあの日、青龍を守ってくれてありがとう。」
「礼を言われる事なんて何もしていない」
「お前の望み通り戦ってやる。本気でかかれ。」
数分後
全員倒した。
パパは強かった。
「お前、俺より強いじゃねぇかよっ!」
「パパ、初めて喧嘩が楽しいって思えたよ。ありがとう。」
「やっぱりお前は俺の娘だ。あの日、どうしてお前がキレたかここの全員から聞いたよ。青龍の時代は終わりだ、そう言われて苛ついた。そうだろ?」
「うん。」
「なぁ、お前は夢とかあるか?」
「ボクは...世界1の暴走族をつくる。パパがつくった青龍よりも強い暴走族。」
「その時はもう俺らは敵だぞ?それでもか?」
コクリと頷いた。
「ボク、パパが憧れだから。もしもボクが夢を叶えて総長になったらもう一度戦ってくれる?」
「あぁ。約束する。」
「ボク、パパを守るために喧嘩をするから!」
あたしが中1になって大輝は中3になった。
いつも通り倉庫に行ったんだ。
そしたら倉庫が血で真っ赤になってて皆倒れていたんだ。
「パパッ!皆っ!」
「あ、華発見!」
パパがいつも座ってたイスに誰か分からない男が座っててたくさん男達が来た。
「大輝、水仙組に行って樹扉夏が倉庫に来いって呼んでるって言ってきて。」
「お前、どうするんだよ!」
「ボクはこいつら全員相手する。」
「....。絶対死ぬな。」
あたしが頷いたのと同時に大輝は出て行った。
それで全員倒したんだ。
「お嬢、病院へ行ってください。」
「え、どこの?」
「さなさんのお父さんの所です。」
さなさんの病院はお父さんの時から組や暴走族しか基本診察しない。
「了解。」
走っていった。
次の日
死者だっていたんだ。
その中にパパだって。
「パパっ!パパっ!」
1年がたって大輝は高校に入った。
桜樹高校のトップになったらしい。
パパが死んで皆は普通に接してくれているがあたしは生まれつきの病気の発作が増えて入院する事も多くなって光を失ったんだ。
ほんの少しの光が青龍の皆だった。
喧嘩なんかできなくなって赤いものが怖くなった。
「海、行こっか!」
大輝に連れられて海に行った。
「なぁ、樹扉夏?」
「...ん?」
「オメェまで死んだりしねぇよな?」
寂しいのは、苦しいのは、あたしだけじゃないんだ、って思った。
「死なねぇよ。」
「本当か?」
世界№1の組、水仙組の組長だから。
樹王騎の髪は珍しく白い髪に毛先は空色。緑の瞳。
娘もその髪の色にその瞳の色になった。
母親は気持ち悪がって樹王騎と娘を置いて出て行った。
娘の名前は
「樹扉夏、ただいま。」
水仙樹扉夏。
どれだけデカイ樹が立ち塞がっても自分の手で扉を開いて夏の太陽のようにキラキラ輝いてほしいから。
それが名前の由来だった。
「パパお帰りなしゃい!」
「組長お帰りなさい!」
「樹扉夏、皆、ただいま。樹扉夏は?今日もいい子にしてたか?」
「うんっ!パパは明日お仕事お休み?」
「あー...仕事。ごめんな?明日幼稚園休みだもんな。」
こんな家系だから甘えを知らなかった。
「ううん!皆と遊んでる!」
甘えては迷惑がかかる。
まだ、3歳なのに。
水仙組には弱点があった。
それが、娘だった。
すぐに狙われてしまう。
「パパ、ボクお風呂入ったからもうねんねしゅるね?」
「あぁ。おやすみ。俺も風呂入ったら隣で寝るよ。」
「うん!おやしゅみなしゃい!」
あたしの一人称は’ボク’だった。
側に居れなくってもパパは好きだった。
次の日
朝ごはんを食べて組員にバレないように公園に行った。
その公園は屋根の下に黒板がついていた。
『このこくばんを見たやつへんじくれ。おれは王。』
その下に
『トモダチになってほしい。』
文字が書けたあたしは返事を書いた。
『ボクのともだちになってください。』
って。幼稚園に友達はいなかった。
でも文字を消して家に帰った。
「お嬢、組長が怒ってましたよ?」
組長室に行った。
「お前、心配したんだぞ?!」
「お前って呼ばないで!ボクは樹扉夏だもん!」
「分かった...。それでどこに居た?」
「公園。」
「公園って...。怪しい人はいなかったか?」
「何かね、お家に帰ってくる時に後に人がいてね、「人?男?どんな奴だった?」
「黒いパパみたいな服着てね?背が高くて襟のところにパパみたいなヤツついてたのっ!」
「どんな?」
「しゃくらのマークに西って書いてたの!」
漢字だって読めていた。あぁ、天才だ。
「....。西条?」
「うーん...分かんない!....パパ今日はお仕事でしょー?遅刻するよ!」
「あ、今日は休んだ。明日も。」
「お仕事しゃぼったの?」
「サボってねぇしな!」
「でもパパはいつも頑張ってくれてるから許しゅね。」
「ありがとう。樹扉夏。それで樹扉夏に明日付いて来てほしいところがある。」
次の日
「樹扉夏、忘れ物はないか?」
「ないよー?」
「じゃあ、行こうか。何で行く?車?バイク?」
「パパのバイク乗りたい!」
「いいぞ。じゃあ、皆何かあったら連絡来れ。」
全員頷いてあたし達は出てパパのバイクに乗った。
「スピード出し過ぎたらおまわりさんに捕まっちゃうんだよ?」
「大丈夫大丈夫!それより、寒くねぇか?」
「うん!」
着いた先は倉庫だった。
「パパ、抱っこー!」
「少し体が冷えてる。寒かったろ?ごめんな?」
「ううん!」
ドアの隣のドアをパパが開けると
「総長、そのちっこいの誰ッスか?」
「俺の娘。可愛いだろ?」
「大輝さんと同じくらいっすか?」
「コイツ3歳。大輝は5歳だから2歳差だな」
「そうなんっすか!人形みたいっすね!」
「だろ?もう集まってんの?あいつら」
「はい。幹部室にいます。」
「そうか。今日も変わった事ないか?」
「はい。」
「じゃあ、幹部室に行ってくるから」
パパに連れて来られたのは
「パパ、あの人が昨日ボクに付いて来てた!」
「あいつは西条雅紀。」
藍色の髪の毛と瞳の人。
「パパの知り合い?」
「俺の仲間。俺暴走族って所の総長。」
「しょーちょー?」
「1番強いんだ。雅紀が2番目に強い副総長ってゆうんだ。」
「へぇ....。」
「雅紀に喧嘩で負けてるけど強いのが幹部。」
「はじめまして。城下真北‹マキタ›です。よろしくね?」
綺麗な黒髪で黒い瞳。
「まきちゃん。」
「真北だから?」
「うん。まきちゃん!よろしくね!」
「クスクスッ、よろしく。」
「俺は星下聖夏。よろしくな。」
金髪に金の瞳。
「せいちゃん。よろしくね!」
「よろしくな!」
「俺は夢川皐月。よろしくなー。」
「さっちゃん!よろしく!」
「俺様は大峰夏夜‹かよ›女みたいな名前だけどよろしくな!」
「かーくん。よろしく!」
「つか何で雅紀はこいつの事つけてたんだ?」
「あ?樹王騎が言ってたから拝見しに行こうと思ってな。その絶対的美女を。」
「まさくん。よろしくねー?」
「あぁ。よろしく。えーっと...お前名前は?」
「水仙樹扉夏。よろしくお願いします!」
「樹扉夏ってすごい名前だな。」
「パパ、あのお兄ちゃんも幹部なの?」
「あぁ、大輝?大輝は幹部じゃねぇ。王だ。」
「王?」
「青龍が絶対に守る存在だ。大輝、おいで。」
パパが手招きするとお兄ちゃんはあたしの目の前に来た。
「パパ、降ろして?」
降ろしてもらってお兄ちゃんの前に立った。
「お兄ちゃんでしょ?公園の黒板に友達になって、って書いたの。」
「じゃあ、お前か?黒板の自分の文字消したの。」
「うん。」
「俺の友達になってくれるか?」
「ボクのお友達になってくれる?」
「ちょっと待てー!」
「パパ、ボクお喋りしてるの!」
「お前達は仲間だ。友達よりも大切な存在。今日から樹扉夏は華だ!」
「俺、篠原大輝っ!よろしくな!樹扉夏!大輝って呼んで?」
「大輝、よろしく!」
「よろしく。つか、お前何歳?」
「3歳だよ!大輝は?」
「俺?俺は5歳!」
小学校になって大輝が6年の時あたしは4年だった。
皆に告白された。男子校だったのにあたしだけ入れられた。
「大輝、かーえろっ!」
「倉庫か?」
「うん!」
「じゃあ、行こっか。」
倉庫に行けば皆
「おかえりなさい!」
とか言ってくれて優しい皆なんだ。
「あ、おかえりー。」
「ただいま!」
「樹扉夏、樹王綺が総長室に来いって。」
「あ、行ってくるねー。」
部屋まで作ってくれた。
『王(大輝)の部屋』
『華(樹扉夏)の部屋』
『パソコンルーム』
『ヨガの部屋』
『本の部屋』
あたしと大輝の部屋は隣同士だった。
あたしはヨガをやっていたから部屋を作ってくれた。
大輝は親に捨てられて大輝の部屋に住んでる。
ガチャっ
「パパ、どうしたの?」
「最近、会えなかったからな。」
抱きしめてくれた。
「パパ最近、忙しいの?」
「あぁ。ごめんな?」
「ううん。大丈夫!」
「で?」
「で?って何?」
「ピアス開けたんだ?駄目って言ったのに?」
「ごめんなさい....。」
「何個?」
「右耳7つ。左耳8つ。」
「なにで開けた?」
「画鋲と釘。」
「あんまり、自分を傷つけんなよ?」
「皆と一緒がいい。」
「青龍全員ピアスの穴は開いている。入る時に開けるのが恒例だ。でも1つしか開けてはならない。開け過ぎると俺達は男だからダサいだろ?それで全員同じピアスをつける。」
そう言ってピアスをつけてくれた。
「青い龍のピアスだ。」
「かっこいぃ...。」
「それで樹扉夏はもう1つつけとけ。」
「ティアラだぁ...。綺麗!ありがとう!」
「どういたしまして。大輝もついてる。」
「一緒!」
「あぁ。あ、俺と真北と聖夏と皐月と夏夜は1週間ココには来れない。だから大輝と青龍を守ってくれるか?」
「ラジャ!」
「大輝待ってるだろ?行くぞ。」
皆と上に行った。
パパ達は荷物を持ってドアの前にいる。
「パパ、皆、気をつけてね。」
組の事でも族の事でもどちらにしろ危ない。そんな事理解しているから。
「あぁ。じゃあ行ってきます。」
「お土産買ってくるからな。」
手をふって皆は行った。
「寂しい?」
「慣れてる。」
1週間後
帰ってくる数時間前。
皆、攻められて倒れていた。
あたしと大輝は下に行ったんだ。
「大輝、どうしたらいいの?」
「お前は俺の後ろにいろ。絶対守ってやる。」
でも、あたしが人質に取られたら大輝まで倒れちゃったんだ。
「華、お前だって喧嘩できるんじゃねぇの?水仙組組長の血が流れてんだから。だから気持ち悪いそんな髪色になってんだろ?」
「髪の色を悪く言わないでっ!」
「お前は喧嘩するなっ!お前の手を汚すんじゃねぇっ!」
大輝のそんな忠告耳に入らない。
「青龍の時代は終わりだ。俺らがトップになるんだよ!」
「トップだとかそんなの知らない。でもなぁ、ボクの大切な皆を侮辱する奴は許さねぇよ!」
気がついたら当たり真っ赤だった。
「華、俺らで片付けしときます。」
「華、カッコ良かったっすよ!」
「華、ありがとうございましたっ!」
「ごめん...ホント、ゴメンっ!」
そう言って倉庫を出た。
家に帰って自分の部屋に入った。
「お嬢...喧嘩したんですか?」
「怖い....ボク、自分が怖い...。」
「誰が何と言おうと俺らはお嬢の味方っす。大切っす。」
「俺ら、下にいるっす。何かあったら来てください。」
それから少し経って一人が嫌になった。
だから、下に行って皆の中心に座った。
「ボクね、喧嘩した後こんな感情なんかじゃないと思ってた...。パパ、楽しそうに喧嘩するんだもの。」
1週間であたしの名前は広まった。
’白蝶’って名前をつけられた。
夜になれば現れて犯罪に手を出してる奴らを倒してるって。自分に絡んでくる奴らも。
この日は久しぶりに倉庫に行った。
「華、久しぶりです!」
「樹扉夏!」
皆も上に来た。
「皆、ボクを倒してほしい。」
「え...?」
「ボク、自分をセーブできないんだ...。」
「怖いのか?」
「うん。」
「礼を言う。’白蝶’。俺の仕事を減らしてくれてありがとう。それからあの日、青龍を守ってくれてありがとう。」
「礼を言われる事なんて何もしていない」
「お前の望み通り戦ってやる。本気でかかれ。」
数分後
全員倒した。
パパは強かった。
「お前、俺より強いじゃねぇかよっ!」
「パパ、初めて喧嘩が楽しいって思えたよ。ありがとう。」
「やっぱりお前は俺の娘だ。あの日、どうしてお前がキレたかここの全員から聞いたよ。青龍の時代は終わりだ、そう言われて苛ついた。そうだろ?」
「うん。」
「なぁ、お前は夢とかあるか?」
「ボクは...世界1の暴走族をつくる。パパがつくった青龍よりも強い暴走族。」
「その時はもう俺らは敵だぞ?それでもか?」
コクリと頷いた。
「ボク、パパが憧れだから。もしもボクが夢を叶えて総長になったらもう一度戦ってくれる?」
「あぁ。約束する。」
「ボク、パパを守るために喧嘩をするから!」
あたしが中1になって大輝は中3になった。
いつも通り倉庫に行ったんだ。
そしたら倉庫が血で真っ赤になってて皆倒れていたんだ。
「パパッ!皆っ!」
「あ、華発見!」
パパがいつも座ってたイスに誰か分からない男が座っててたくさん男達が来た。
「大輝、水仙組に行って樹扉夏が倉庫に来いって呼んでるって言ってきて。」
「お前、どうするんだよ!」
「ボクはこいつら全員相手する。」
「....。絶対死ぬな。」
あたしが頷いたのと同時に大輝は出て行った。
それで全員倒したんだ。
「お嬢、病院へ行ってください。」
「え、どこの?」
「さなさんのお父さんの所です。」
さなさんの病院はお父さんの時から組や暴走族しか基本診察しない。
「了解。」
走っていった。
次の日
死者だっていたんだ。
その中にパパだって。
「パパっ!パパっ!」
1年がたって大輝は高校に入った。
桜樹高校のトップになったらしい。
パパが死んで皆は普通に接してくれているがあたしは生まれつきの病気の発作が増えて入院する事も多くなって光を失ったんだ。
ほんの少しの光が青龍の皆だった。
喧嘩なんかできなくなって赤いものが怖くなった。
「海、行こっか!」
大輝に連れられて海に行った。
「なぁ、樹扉夏?」
「...ん?」
「オメェまで死んだりしねぇよな?」
寂しいのは、苦しいのは、あたしだけじゃないんだ、って思った。
「死なねぇよ。」
「本当か?」

