~誠~
「記憶がないからどうした。忘れるかもしれないからどうした。羽瑠姫ちゃん、キミは俺に言ったじゃないか。『大切なものを忘れても取り返せばいい。』って。じゃあ羽瑠姫ちゃんの記憶が戻って俺達を忘れてもまた、1からやり直せばいい。」
「っ....あたしにはそんな資格ないのよ。」
冷静さがいるんだ。
こうやって誠と本気で話すときは。
相手が冷静だから。
「’華’になる資格だってないの。それどころか」
それどころか...。
「人と関わる資格も「人と関わる資格なんてあるのか?人と関わるのに資格なんていらねぇだろ。」
「今までね、男の子は言ってくれたんだぁ。『愛してる』って。でもね’あたし’を愛してくれてるんじゃなくて’西条羽瑠姫’を愛してくれてるの。途中から好き、って言われてもその言葉が信じられなくて何よりも安い言葉になった。」
あたしは不必要。
「それでも生きなきゃいけない。」
そう。この体は...。
「この体は西条羽瑠姫の体なの。傷つけるわけにはいかないわ?」
「羽瑠姫は羽瑠姫じゃん。」
弥生の言葉は誰かが同じ言葉を言ってもない説得力がある。
次の日
今日は学校休みで弥生と二人で寮にいる。
「ねぇ、弥生ー」
「ん?」
「コーヒーといちごオレとどっちがいい?」
「コーヒーかな。」
コーヒーを作ろうとすると弥生が隣に来てコップを取ろうとしたので手があたってコップが落ちて割れた。
「ご、ごめんっ!」
コップを拾おうとすると指が切れた。
「っ...。」
「俺拾うから羽瑠姫は座ってこい。」
大人しく言うことを聞くことにした。 
スグに片付けてくれたのか救急箱からバンソコとかとって貼ってくれた。
「弥生っ...、ごめんなさい。」
「何謝ってんだよ?」
「弥生のお気に入りのコップ...割ってごめんなさい。」
「大丈夫だって。気にしすぎなんだよ。」
~弥生~
羽瑠姫を抱きしめた。
「お前の匂いは落ち着く。」
次の日
「弥生、今日はパパに呼ばれてるから倉庫行けない。ごめんね?」
「あぁ。大丈夫だ。」
羽瑠姫は手を振って家を出た。
ブー、ブー、
「はい。」
『誠だけど、今日急用ができて倉庫行けねぇから。』
「了解。」
電話を切って一度寝て倉庫に行こうとした途中、誠と羽瑠姫が歩いていた。
意味分かんねぇ。
倉庫に行った。
「今日羽瑠姫はぁ?」
「知らね。あの馬鹿。」
「喧嘩したのか?」
「してねぇけど。」
数時間後
家に帰ってきた。いや、寮。
羽瑠姫も帰ってきた。
「羽瑠姫、今日、誠と一緒にいたよな?」
「何で?」
「何で?...こっちのセリフだよ。」
「一緒にいたよ?それが何か?」    
「お前なぁ、」
ガチャっ
ドアが開けられる音に遮られた。
「羽瑠姫ちゃんっ!」
「誠、どうしたの?」
誠が羽瑠姫の耳元で何か言った。
「送ってあげる。下で待ってるよ。」
「ごめんね?ありがとう。」
誠は出て行った。
「弥生、ごめんね。あたし、行ってくるから。」
「意味、分かんねぇ。」
羽瑠姫は俺の足に跨った。
「チュッ」
リップ音を発し俺の唇に柔らかいものがあたった。
「弥生、帰ってきたら事情説明するね。」
「帰ってきた時じゃ、嫌だ。」
「我慢して?」
羽瑠姫はどこかに行った。

数時間経って帰ってきた。
「弥生」
「羽瑠姫...お前なんでさっきキスした?」
「...あたしの癖。」
「変な期待、させんなよ。俺は男なんだから。」
「分かってるわよ。変な期待させるためにやった行為なのよ?」
羽瑠姫の思う事が分からない。
考える事も。
何一つ。
「ねぇ?」
「ん?」
「あ、イヤ何でもない。」
「...変な奴。」
「おやすみ。」
時が経つのはとても早く皆で沖縄に来てる。
青龍全員いてる。