「いっ、いやそう改めて聞かれると自信が……」
まさか、聞き間違いって最悪のオチじゃないだろうなと考えていると、部屋をノックする音が聞こえ、
「どうぞ」
俺の言葉と同時にドアが開くと、そこには、俯き、スカートを握り締めた女子生徒が立っていた。顔を上げると、見覚えがある顔。
桜井美由がそこに立っていた。
「えっ、みっ、美由?」
夏美の言葉にその人物は「はい」と小さく呟いた。
幽霊にでも遭遇しちまったかのように青い顔をして一瞬言葉に詰まった夏美だが、すぐに我に返り、
「美由!」
そういって、入口前にいた俺を突き飛ばし美由に抱きつく夏美。俺は夏美に押された勢いで本棚に激突だ。
「よかった! 美由。もう二度と会えないって思っちゃったじゃない!」
夏美は美由に抱きつきながら涙声で叫んでいる。
「ほっ、本物の美由なのか?」
俺は混乱を覚ますべくその人物に問いかけると、
「はい、桜井美由です。会長、色々とご迷惑をおかけしました」
そう言って夏美越しに頭を下げ、笑顔を見せた。
「みゆりん!」
さやかもパソコンの前からダッシュで美由に向かい、俺を押しのけて美由と夏美に抱きついた。再び本棚に激突する俺。あのう、会長を少しは敬ってください。
夏美とさやかが落ち着きを取り戻し全員が着席すると、
「みなさん。すみません。色々と私の事でご迷惑をおかけしました」
そう言って頭を下げる美由。
「美由さんはこちらの世界には帰ってこれなかったんじゃないのですか?」
福居は落ち着いた表情で美由を見つめると、
「はい、実は……本来ならもうこの世界には戻ることができないはずだったのですぅ。みなさんの記憶から桜井美由という記憶を完全に消す事によって、私は存在しなかったという事になるはずでした。知らなければ思い出すこともない。アンゴルによる結論はそうなるはずでした。ですが、アンゴルの分析に反し、みなさんが私の事を思い出してしまったのですぅ、これはアンゴルにとっても私たちにとっても予想外の事でしたぁ。苦悩しているみなさんを見て、タケシもキョウも心を痛め、私に新たな任務を与え、こちらの世界に戻し、全員の記憶を戻してくれたのですぅ」
美由は涙ぐみながら全員を見つめた。
「新しい任務って一体何なんだ? その任務を遂行したらまた美由は帰っちまうのか?」
「その任務とは……『大魔術師とその仲間を護衛すること』なのですぅ」
「魔術師って、そりゃあ、夏美の事で、仲間ってのは俺たちのことか?」
「そうです、大魔術師様の生まれ変わりである夏美さんと、みなさんの事です」
「いつまで?」
「ずっと……です。期限は決まっていません」
「じゃあ、美由、それって……」
夏美は目を大きく見開き美由を見つめると、
「はい、これからもずっとみなさんと一緒にいられます」
美由は今までに見たことのない最高の笑顔を俺たちにふりまいた。
「美由!」
「みゆりん!」
夏美とさやかが同時に美由に飛びつく。
「もう、さよならも言わずにお別れなんて、絶対に嫌だったんだからね! 悲しい顔が見たくないとかもう言わないでよ!」
夏美の涙声に美由は、
「ごめんなさい、ごめんなさい夏美さん。もう……もうどこへも行きません」
暫くは夏美、美由、さやかの泣き声が生徒会室に木霊するが、それは不協和音なんかではなく、ずっと聞いていたいと思うほどの美しい音色に聞こえた。
まさか、聞き間違いって最悪のオチじゃないだろうなと考えていると、部屋をノックする音が聞こえ、
「どうぞ」
俺の言葉と同時にドアが開くと、そこには、俯き、スカートを握り締めた女子生徒が立っていた。顔を上げると、見覚えがある顔。
桜井美由がそこに立っていた。
「えっ、みっ、美由?」
夏美の言葉にその人物は「はい」と小さく呟いた。
幽霊にでも遭遇しちまったかのように青い顔をして一瞬言葉に詰まった夏美だが、すぐに我に返り、
「美由!」
そういって、入口前にいた俺を突き飛ばし美由に抱きつく夏美。俺は夏美に押された勢いで本棚に激突だ。
「よかった! 美由。もう二度と会えないって思っちゃったじゃない!」
夏美は美由に抱きつきながら涙声で叫んでいる。
「ほっ、本物の美由なのか?」
俺は混乱を覚ますべくその人物に問いかけると、
「はい、桜井美由です。会長、色々とご迷惑をおかけしました」
そう言って夏美越しに頭を下げ、笑顔を見せた。
「みゆりん!」
さやかもパソコンの前からダッシュで美由に向かい、俺を押しのけて美由と夏美に抱きついた。再び本棚に激突する俺。あのう、会長を少しは敬ってください。
夏美とさやかが落ち着きを取り戻し全員が着席すると、
「みなさん。すみません。色々と私の事でご迷惑をおかけしました」
そう言って頭を下げる美由。
「美由さんはこちらの世界には帰ってこれなかったんじゃないのですか?」
福居は落ち着いた表情で美由を見つめると、
「はい、実は……本来ならもうこの世界には戻ることができないはずだったのですぅ。みなさんの記憶から桜井美由という記憶を完全に消す事によって、私は存在しなかったという事になるはずでした。知らなければ思い出すこともない。アンゴルによる結論はそうなるはずでした。ですが、アンゴルの分析に反し、みなさんが私の事を思い出してしまったのですぅ、これはアンゴルにとっても私たちにとっても予想外の事でしたぁ。苦悩しているみなさんを見て、タケシもキョウも心を痛め、私に新たな任務を与え、こちらの世界に戻し、全員の記憶を戻してくれたのですぅ」
美由は涙ぐみながら全員を見つめた。
「新しい任務って一体何なんだ? その任務を遂行したらまた美由は帰っちまうのか?」
「その任務とは……『大魔術師とその仲間を護衛すること』なのですぅ」
「魔術師って、そりゃあ、夏美の事で、仲間ってのは俺たちのことか?」
「そうです、大魔術師様の生まれ変わりである夏美さんと、みなさんの事です」
「いつまで?」
「ずっと……です。期限は決まっていません」
「じゃあ、美由、それって……」
夏美は目を大きく見開き美由を見つめると、
「はい、これからもずっとみなさんと一緒にいられます」
美由は今までに見たことのない最高の笑顔を俺たちにふりまいた。
「美由!」
「みゆりん!」
夏美とさやかが同時に美由に飛びつく。
「もう、さよならも言わずにお別れなんて、絶対に嫌だったんだからね! 悲しい顔が見たくないとかもう言わないでよ!」
夏美の涙声に美由は、
「ごめんなさい、ごめんなさい夏美さん。もう……もうどこへも行きません」
暫くは夏美、美由、さやかの泣き声が生徒会室に木霊するが、それは不協和音なんかではなく、ずっと聞いていたいと思うほどの美しい音色に聞こえた。

