翌日。俺はいつものように超田舎道散歩を敢行し、一年四組の教室まで階段を駆け上がると、教室の前に桜井が立っていた。
 そう言えば、こいつが俺を生徒会などという面倒事に推薦したんだよな。などと思い起こし視界の隅に桜井を捉えながら教室に入ろうとすると、意外なことに桜井からしゃべりかけてくるじゃないか。
「おはようございますぅ。昨日厚木先生に呼ばれたでしょう。ごめんなさい。急にこんな話になっちゃって。迷惑でしかたぁ?」
 迷惑だ! とは言えず、「まあ、いいよ」的な返答をする。桜井は俺の返答を確認すると満面の笑みで両手を胸の前で合わせ、
「でも、良かったですぅ。引き受けてくれて、ありがとうございますぅ」
「まあね、でもなんで俺なんか推薦したんだ? 俺達あんまり喋ったことなかったよな?」
「そ、それは……」
 桜井は俯いてしまい、スカートの裾を握り締めると、何か意を決したように前を向き、真剣な顔で、
「ちょっとお話があります。お昼休みにお時間よろしいでしょうかぁ」
「あっ、ああ」
 桜井の真剣な顔に威圧されてしまった俺は、そう答えるしか選択肢がないかのごとくに返事をしてしまっていたのだった。
 授業中。俺は先程の桜井の言葉を思い出していた。話って何だ? あんまり喋った事がない女子が話あるってことは……ひょっとして、俺に愛の告白でもする気か?
 

――以下、俺の妄想全開中――
 俺は考えたね。もしかしたら、入学以来桜井は俺のことが好きで日に日に想いを募らせていたが引っ込み事案の性格のため告白できずにいた。生徒会に推薦し同じ役員になることで、おれに接近しようとしたとか?
――妄想終わり――