目を上げると川に架かっている橋が見える。典型的なトラス橋だ。俺たちの世界とまったく同じ風景。そういえば俺たちの世界では昔アイドルが歌にして有名になった橋だったな。
さらに目を上げると一面のオレンジ色だ。こちらの世界では妙に懐かしい夕暮れで、西の方に沈みゆく光と真上の光、二つの光源が見えた。一つは、タケシ達が開発したと言う人工太陽。もう一つは、こちらの世界では、何年ぶりかの本物の太陽である。
どうやら位相のずれた世界を修正したことにより地球を覆っていた塵の層が吹き飛んだらしい。吹き飛んだのがこの地域だけなのか、地球全体なのかはわからないが、久々に太陽の光を浴びている。
この前まではなんとも思わない感覚だったが、今となっては妙に懐かしい気分だな。
「ねえ、これで良かったのかな?」
夏美はポツリと呟く。
「そうだな。こっちの世界を救えたし、俺たちの世界も消滅せずに済んだ。夏美のおかげだよ」
「そんなことない。会長やさやか、美由、福居くんの力がなかったらここまで来れなかったもん。みんなの力……かな? 私ねえ。今日ほど南校生徒会やってて良かったって思ったことないよ。いい人たちにめぐり合えた」
そう言って、夏美は今までに見たことの無い最高の笑顔を見せた。
「そろそろ、帰るか」
「そうね、みんなは大丈夫かしら」
「おいおい、あいつらは有能な南校生徒会だぞ、ついでに黒魔術師と白魔術師と剣士なんだ、大丈夫に決まっている」
俺と夏美は立ち上がり、振り返ると一台の車がゆっくりと止まった。
運転席からは、キョウがにこやかな笑顔をしており、
「おかえりなさい。世界を救ってくれてありがとうございます」
そう言うとさらに笑顔を見せた。
「ええ、何とか」
服に付いた芝を振り払うように立ち上がり、車に乗り込むと静かに走り出し施設に向かって川沿いの道を進んだ。
「他の奴らは無事ですか」
俺の問いにキョウは、
「みなさん、ご無事です。福居さんとさやかさんもさきほど施設に送りとどけました。お二人ともすごいですね。あの人数をあっという間にやっつけてくれていました」
「施設に攻め込んできたレジスタンスは?」
夏美は後部座席から身を乗り出している。
「レジスタンスの者は、約束の時を過ぎると退散していきました。地球が崩壊しないのを悟ったようです。おそらくもう現れないでしょう」
「そうですか、よかった」
俺は胸をなで下ろした。
「しかし、太陽の光……本当に久しぶりです」
わずかだが声が震えているキョウに視線を向けると、前を見つめるキョウの頬を一筋の雫が伝うのが見えた。
施設に到着すると、タケシ、福居とさやか、美由が待っており、
「なっちゃーん。よかったにゃあ、助かったにゃあ」
さやかは夏美に飛びついてきた。
「さやか」
夏美は飛びついたさやかの頭をやさしく撫でる。
「うえっ、うええん」
さやかは号泣していた。
「本当に良かったですぅ。私もう駄目かと思っちゃいましたぁ。会長、ありがとうございますぅ」
美由はいつも通りの舌ったらずボイスで涙を浮かべていたが、お前は俺に抱きついてくれないのか?
「本当にやってくれるとはね。さすがは夏美さん。会長は少しは役に立ったのかな?」
福居はいつもニヤケ顔で腕を組んで立っていた。
「まあ俺は見届けただけだ。何にもやっていない」
「やっぱりね。ビビッて腰抜かしてたんじゃないの?」
「何言ってやがる。俺はだなあ、こう腕を組んでだ、見守っていたんだぞ」
俺は、腕を組み、仁王立ちのジェスチャーをして見せる。
「はいはい、そういう事にしておくよ」
福居は、笑顔で俺の肩を叩いた。
「みなさん、本当にありがとうございます。世界を救ってくださっただけではなく、我々に太陽まで取り戻してくれた。おかげでやわらかい日の光を受けることができます。さきほどアンゴルの解析により塵の層の八十パーセントが消滅したとの観測結果がでました。残りの二十パーセントについても、二週間ほどで消滅すると思います。本当に皆さんにはなんと言っていいか……」
いつもの笑顔をタケシは俺たちに向けていた。
「まあ、世界も救えたし、これで、全て解決だな」
俺は、全員を見渡した。最高の仲間たち、俺は南校生徒会長で良かったと心から思った。
さらに目を上げると一面のオレンジ色だ。こちらの世界では妙に懐かしい夕暮れで、西の方に沈みゆく光と真上の光、二つの光源が見えた。一つは、タケシ達が開発したと言う人工太陽。もう一つは、こちらの世界では、何年ぶりかの本物の太陽である。
どうやら位相のずれた世界を修正したことにより地球を覆っていた塵の層が吹き飛んだらしい。吹き飛んだのがこの地域だけなのか、地球全体なのかはわからないが、久々に太陽の光を浴びている。
この前まではなんとも思わない感覚だったが、今となっては妙に懐かしい気分だな。
「ねえ、これで良かったのかな?」
夏美はポツリと呟く。
「そうだな。こっちの世界を救えたし、俺たちの世界も消滅せずに済んだ。夏美のおかげだよ」
「そんなことない。会長やさやか、美由、福居くんの力がなかったらここまで来れなかったもん。みんなの力……かな? 私ねえ。今日ほど南校生徒会やってて良かったって思ったことないよ。いい人たちにめぐり合えた」
そう言って、夏美は今までに見たことの無い最高の笑顔を見せた。
「そろそろ、帰るか」
「そうね、みんなは大丈夫かしら」
「おいおい、あいつらは有能な南校生徒会だぞ、ついでに黒魔術師と白魔術師と剣士なんだ、大丈夫に決まっている」
俺と夏美は立ち上がり、振り返ると一台の車がゆっくりと止まった。
運転席からは、キョウがにこやかな笑顔をしており、
「おかえりなさい。世界を救ってくれてありがとうございます」
そう言うとさらに笑顔を見せた。
「ええ、何とか」
服に付いた芝を振り払うように立ち上がり、車に乗り込むと静かに走り出し施設に向かって川沿いの道を進んだ。
「他の奴らは無事ですか」
俺の問いにキョウは、
「みなさん、ご無事です。福居さんとさやかさんもさきほど施設に送りとどけました。お二人ともすごいですね。あの人数をあっという間にやっつけてくれていました」
「施設に攻め込んできたレジスタンスは?」
夏美は後部座席から身を乗り出している。
「レジスタンスの者は、約束の時を過ぎると退散していきました。地球が崩壊しないのを悟ったようです。おそらくもう現れないでしょう」
「そうですか、よかった」
俺は胸をなで下ろした。
「しかし、太陽の光……本当に久しぶりです」
わずかだが声が震えているキョウに視線を向けると、前を見つめるキョウの頬を一筋の雫が伝うのが見えた。
施設に到着すると、タケシ、福居とさやか、美由が待っており、
「なっちゃーん。よかったにゃあ、助かったにゃあ」
さやかは夏美に飛びついてきた。
「さやか」
夏美は飛びついたさやかの頭をやさしく撫でる。
「うえっ、うええん」
さやかは号泣していた。
「本当に良かったですぅ。私もう駄目かと思っちゃいましたぁ。会長、ありがとうございますぅ」
美由はいつも通りの舌ったらずボイスで涙を浮かべていたが、お前は俺に抱きついてくれないのか?
「本当にやってくれるとはね。さすがは夏美さん。会長は少しは役に立ったのかな?」
福居はいつもニヤケ顔で腕を組んで立っていた。
「まあ俺は見届けただけだ。何にもやっていない」
「やっぱりね。ビビッて腰抜かしてたんじゃないの?」
「何言ってやがる。俺はだなあ、こう腕を組んでだ、見守っていたんだぞ」
俺は、腕を組み、仁王立ちのジェスチャーをして見せる。
「はいはい、そういう事にしておくよ」
福居は、笑顔で俺の肩を叩いた。
「みなさん、本当にありがとうございます。世界を救ってくださっただけではなく、我々に太陽まで取り戻してくれた。おかげでやわらかい日の光を受けることができます。さきほどアンゴルの解析により塵の層の八十パーセントが消滅したとの観測結果がでました。残りの二十パーセントについても、二週間ほどで消滅すると思います。本当に皆さんにはなんと言っていいか……」
いつもの笑顔をタケシは俺たちに向けていた。
「まあ、世界も救えたし、これで、全て解決だな」
俺は、全員を見渡した。最高の仲間たち、俺は南校生徒会長で良かったと心から思った。

