一体何が起きているんだ?
俺が外の状況を確認しよとドアに近づくと突然ドアが開きキョウが走りこんできた。
「キョウさん、どうしたんですか? この音はなんですか?」
こういう場面で福居は冷静だな。キョウに訪ねると、
「大変です。レジスタンスがこの施設に攻撃を仕掛けてきました」
「なんだと! レジスタンスとやらは昨日俺たちが壊滅したじゃないか。タケシが言っていた別の部隊か?」
「そっ、そうです。昨日の人たちとは別の部隊だと思います。こちらも応戦していますが、侵入されるのは時間の問題かと思います」
キョウは今まで見たこともないくらい取り乱していた。
「アッ、アンゴルの部屋まで到達されたら、全て終わりなのです。アンゴルの自爆モードにプログラムを書き換えられてしまうと、この世界は崩壊してしまうのです」
「なんてこった、位相のずれた空間が収縮活動を始めてもこの世界は滅びちまうし、アンゴルの自爆でも滅びる可能性があるなんてな。で、俺たちも行った方がいいのか?」
俺の問いにキョウは俯きながら、
「できれば……でも、あなた方に無茶は言えません……」
「行った方がいいな」
福居の言葉に全員が頷くと、部屋を飛び出し轟音のする方へと走った。
廊下を走り突き当たりのドアを勢いよく開けると、タケシやシンを始め施設の連中が応戦している姿が目に入った。俺たちはドアから飛び出し戦いの状況を確認しようと見渡すと……広大な中庭で既に戦闘モードだ。昨日の戦闘と違っているところは、敵は全員銃らしき物を持ち激しく撃ち合ってるじゃねえか、こりゃえらく危ねえぞ。
「みなさん、こっちです」
タケシは向かいの建物の影から叫ぶが、その手にはしっかりと銃が握られていたのは言うまでもない。
俺たちは、一旦施設内に入り廊下の壁伝いにタケシの元まで進む。さやかは面白そうに窓から中庭を伺っては直ぐに顔を引っ込めるといった刑事役ちっくにしているし、美由は美由で、銃弾の轟音でわんわん泣いていた。俺は二人の手を引っ張り、福居と夏美と共に、中腰のままドアを目指した。
しかし……銃弾の雨とは、まさにこのことを言うんだな。連射音にガラスの割れる音、床に散らばるガラスの破片に少し動揺しながらタケシと合流する事ができた。俺は改めて、全員の無事を確認し、タケシに顔を向けると、
「すみません。毎日こんなことで、レジスタンスの連中は約束の時の前に全てにカタをつけてしまいたいようですね」
「じゃあ、やはりこれは夏美を狙ってのことか」
「そうです――危ない!」
タケシに押された俺は、地面に尻餅をつく――瞬間、耳の近くで空気を切り裂くような感覚がし、その直後に寸前まで俺がいた場所のガラスが芸術的に破砕された。
タケシは、俺を突き飛ばした瞬間素早く銃の引き金を引く、木の陰に隠れていた相手が前のめりに倒れるのが見えた。
おいおい、相手は本気だなこりゃあ、飛び道具は卑怯だろうよ、魔法だなんだって言ってる割には、全開近代兵器のオンパレードじゃねえか。
などとのんきなことを思っていた矢先、マシンガンの連射音が響く、ヤバイ……とっさに俺たちは廊下に転がり込んだ。
連射音が止み、周囲の状況を確認すると、ドアが銃弾によって破壊されポッカリと空間が開いていた。身を潜めさせる場所がなくなってしまい、俺たちはタケシとシンのところに戻れそうもなく、迂闊に顔を出すと蜂の巣にされそうな勢いだ。
「みなさんは約束の場所に向かっちゃってください! ここは僕たちにまかせてほしいっす」
シンが木陰から身を乗り出し叫んだ。
「その通りです。時間もない。とにかくあの場所へ向かってください」
タケシは時折壁から身を乗り出し、応戦してからすぐに壁に身を隠している。その瞬間――、青白い閃光がタケシの腕を貫通した。
「つう……」
タケシは蹲ってしまう、まずいな。
俺は「大丈夫か」と声をかえようとすると、
「会長たちは早く行ってください」
昨日聞いたクールな声で、美由が銃弾の雨の中をタケシの元へと歩き、タケシの腕をとると何やら呪文を唱えタケシの傷を押さた。さらに何かを呟くとタケシの出血がみるみる止まり、穴の開いた服だけとなったじゃねえか。
「美由、ありがとうございます」
「あなた方が傷ついても、私が助ける」
美由は昨日の険しい目つきになっている。心強いぞ美由。二人をよろしくな。
「あいつらの言うとおりだ。とにかく、約束の場所へ向かおう」
夏美の肩に手をまわす。
「でっ、でも……美由たちは?」
夏美は残っている連中が心配のようで、泣きそうになりながら戦況を見つめていた。
「大丈夫だ。あいつらなら、こんな攻撃耐えられるだろ。昨日の戦いを見てなかったのか?
タケシとシン、おまけに美由もいるんだぞ。まあ、俺はやられちまってたけど、あっさりやっつけたんじゃなかったのか?」
「……そうね、大丈夫よね。美由、タケシ……みんな気をつけて」
夏美は決心したらしく俺を見つめて頷き、俺達は一緒に施設の反対側に向かって走り始めた。廊下の突き当たりに来たところで振り返ると、タケシとシン、美由は外で応戦中だ。
美由はあの厳しい目つきでバリアの呪文を唱えると、大きなシャボン玉のような幕がタケシとシンをつつみ銃弾は到達しない。その幕に守られ接近戦を試みている。
「あいつらなら大丈夫」
最後に俺は確認の意味で自分に言い聞かせると施設の裏へと向かった。
俺が外の状況を確認しよとドアに近づくと突然ドアが開きキョウが走りこんできた。
「キョウさん、どうしたんですか? この音はなんですか?」
こういう場面で福居は冷静だな。キョウに訪ねると、
「大変です。レジスタンスがこの施設に攻撃を仕掛けてきました」
「なんだと! レジスタンスとやらは昨日俺たちが壊滅したじゃないか。タケシが言っていた別の部隊か?」
「そっ、そうです。昨日の人たちとは別の部隊だと思います。こちらも応戦していますが、侵入されるのは時間の問題かと思います」
キョウは今まで見たこともないくらい取り乱していた。
「アッ、アンゴルの部屋まで到達されたら、全て終わりなのです。アンゴルの自爆モードにプログラムを書き換えられてしまうと、この世界は崩壊してしまうのです」
「なんてこった、位相のずれた空間が収縮活動を始めてもこの世界は滅びちまうし、アンゴルの自爆でも滅びる可能性があるなんてな。で、俺たちも行った方がいいのか?」
俺の問いにキョウは俯きながら、
「できれば……でも、あなた方に無茶は言えません……」
「行った方がいいな」
福居の言葉に全員が頷くと、部屋を飛び出し轟音のする方へと走った。
廊下を走り突き当たりのドアを勢いよく開けると、タケシやシンを始め施設の連中が応戦している姿が目に入った。俺たちはドアから飛び出し戦いの状況を確認しようと見渡すと……広大な中庭で既に戦闘モードだ。昨日の戦闘と違っているところは、敵は全員銃らしき物を持ち激しく撃ち合ってるじゃねえか、こりゃえらく危ねえぞ。
「みなさん、こっちです」
タケシは向かいの建物の影から叫ぶが、その手にはしっかりと銃が握られていたのは言うまでもない。
俺たちは、一旦施設内に入り廊下の壁伝いにタケシの元まで進む。さやかは面白そうに窓から中庭を伺っては直ぐに顔を引っ込めるといった刑事役ちっくにしているし、美由は美由で、銃弾の轟音でわんわん泣いていた。俺は二人の手を引っ張り、福居と夏美と共に、中腰のままドアを目指した。
しかし……銃弾の雨とは、まさにこのことを言うんだな。連射音にガラスの割れる音、床に散らばるガラスの破片に少し動揺しながらタケシと合流する事ができた。俺は改めて、全員の無事を確認し、タケシに顔を向けると、
「すみません。毎日こんなことで、レジスタンスの連中は約束の時の前に全てにカタをつけてしまいたいようですね」
「じゃあ、やはりこれは夏美を狙ってのことか」
「そうです――危ない!」
タケシに押された俺は、地面に尻餅をつく――瞬間、耳の近くで空気を切り裂くような感覚がし、その直後に寸前まで俺がいた場所のガラスが芸術的に破砕された。
タケシは、俺を突き飛ばした瞬間素早く銃の引き金を引く、木の陰に隠れていた相手が前のめりに倒れるのが見えた。
おいおい、相手は本気だなこりゃあ、飛び道具は卑怯だろうよ、魔法だなんだって言ってる割には、全開近代兵器のオンパレードじゃねえか。
などとのんきなことを思っていた矢先、マシンガンの連射音が響く、ヤバイ……とっさに俺たちは廊下に転がり込んだ。
連射音が止み、周囲の状況を確認すると、ドアが銃弾によって破壊されポッカリと空間が開いていた。身を潜めさせる場所がなくなってしまい、俺たちはタケシとシンのところに戻れそうもなく、迂闊に顔を出すと蜂の巣にされそうな勢いだ。
「みなさんは約束の場所に向かっちゃってください! ここは僕たちにまかせてほしいっす」
シンが木陰から身を乗り出し叫んだ。
「その通りです。時間もない。とにかくあの場所へ向かってください」
タケシは時折壁から身を乗り出し、応戦してからすぐに壁に身を隠している。その瞬間――、青白い閃光がタケシの腕を貫通した。
「つう……」
タケシは蹲ってしまう、まずいな。
俺は「大丈夫か」と声をかえようとすると、
「会長たちは早く行ってください」
昨日聞いたクールな声で、美由が銃弾の雨の中をタケシの元へと歩き、タケシの腕をとると何やら呪文を唱えタケシの傷を押さた。さらに何かを呟くとタケシの出血がみるみる止まり、穴の開いた服だけとなったじゃねえか。
「美由、ありがとうございます」
「あなた方が傷ついても、私が助ける」
美由は昨日の険しい目つきになっている。心強いぞ美由。二人をよろしくな。
「あいつらの言うとおりだ。とにかく、約束の場所へ向かおう」
夏美の肩に手をまわす。
「でっ、でも……美由たちは?」
夏美は残っている連中が心配のようで、泣きそうになりながら戦況を見つめていた。
「大丈夫だ。あいつらなら、こんな攻撃耐えられるだろ。昨日の戦いを見てなかったのか?
タケシとシン、おまけに美由もいるんだぞ。まあ、俺はやられちまってたけど、あっさりやっつけたんじゃなかったのか?」
「……そうね、大丈夫よね。美由、タケシ……みんな気をつけて」
夏美は決心したらしく俺を見つめて頷き、俺達は一緒に施設の反対側に向かって走り始めた。廊下の突き当たりに来たところで振り返ると、タケシとシン、美由は外で応戦中だ。
美由はあの厳しい目つきでバリアの呪文を唱えると、大きなシャボン玉のような幕がタケシとシンをつつみ銃弾は到達しない。その幕に守られ接近戦を試みている。
「あいつらなら大丈夫」
最後に俺は確認の意味で自分に言い聞かせると施設の裏へと向かった。

