「うおらあああ」
まるで親の仇のように剣を振りまくっていた。そういえばこいつは剣士属性だったよな。半端ないヒットポイントだぞ、戦っている相手とまるで格が違うじゃねえか。しかも峰うちなのか刀が切れないのかわからんが、誰一人として殺している雰囲気はなく、派手に気絶しているようだ。お前は不殺の誓いを立てた流浪人か!
タケシとシンはというと、卒なく攻撃をかわし、こめかみやら延髄やらに手刀を華麗に繰り出していた。こいつらは武道の達人だったのか。
相変わらず他の連中の戦闘を見ている事しかできない俺、家の入り口付近でボケーっと見ていると、いきなり、
「会長、危ない!」
美由の声と同時に押されて地面に転がる。振り返ると美由が大男と近接戦闘中だった。美由の後ろには夏美がおり、美由は夏美をかばいながら大男の攻撃を耐え、呪文を繰り出している。こりゃあ、俺も男として加勢した方がいいな。だいぶ動けるようになったし。勇んで足を前に動かそうとしたその刹那、昨日味わったような違和感に襲われた。背中に何かが押し込まれている。何かの感覚を覚えると言うより違和感の方が強い。
背中に手を回すと、やはり、何か柄のついたものがあり、「またですか?」と突っ込みを入れている間に、下半身が若干粘性を持った液体に染まり、膝から崩れ落ちる俺。
足をはじめ全身に力が入らない。誰かが何かを叫んでいるが思うように聞こえないぜ、何て言ってるんだ? 会長か? 何だ? そんな事を考えている間に俺の視界を黒が覆いそうになる。視界が黒一色になる間際、「美由って蘇生の呪文を覚えてたっけ?」と切に願うのであった。
……
…………
………………
んっ? どうやらまだ生きているらしい。目を開けると、こちらの世界に来てからはお馴染みの部屋の天井だった。蛍光灯がやたらとまぶしいぜ。
「あっ、会長ぉ、気が付きましたかぁ?」
ベットの横で林檎の皮を剥いていた美由がいつもの笑顔で見つめていた。
「助かったのか? レジスタンスはどうした?」
「みなさんの力で全員逮捕しましたよ。会長を刺した人もちゃんと捕まえましたぁ」
「そうか、そりゃ良かったな。ところで、俺ってまたやられたのか?」
「はい、私がもう少ししっかりしていれば良かったのですがぁ、会長、すみません」
頭を下げ、剥いた林檎を差し出す美由。俺は一つ受け取り、口に放り込むと、、
「おっ、目が覚めたかい? まったく、いつもやられちゃうんだから」
福居と夏美が部屋に入って来た。開口一番そんな言葉か? もう少し怪我人に優しくできないものかねえ。
「まったくねえ。やっぱ会長は役に立たないわね。二回も死にかけちゃうなんてねえ、美由の呪文がなければ完全にお陀仏よ。きっと今ごろお葬式をやってたかもね」
いつもの様に夏美はニヤケ顔で見下ろしてきやがる。すまなかったねえ、頼りない会長で。でもまあ、美由の回復系呪文でなんとかまた生き返ることができたらしいな。
「あれっ? 会長、もう動けるんっすか?」
シンも部屋に入ってくるなり軽口を叩きやがる。一応言っておく、俺は生徒会長なんだぞ。しかし、全員を見る限り無事そうだ。結局怪我と言うかやられたのは俺だけってことなのか? 仕方ないだろ、俺には何の役職もないんだからな。
「お前らが強いのか、敵が弱いのかわからんな」
全員を見渡し呟くと、
「敵が弱いのではなく、あなた方の力が強大なのです。私たちこちらの世界の者では苦戦を強いられていたでしょう。あなた方がいてくれたので、一人の犠牲者も出さずに済んだのです」
シンの後ろにはタケシも来ており、いつもの笑顔で答えた。
「レジスタンスはあれで全部なの?」
夏美の問いにタケシは、
「いいえ、全てというわけではありません。派閥といいますか、いくつかのグループが存在するのです。さきほどのはその一グループに過ぎません」
「そう、じゃあ他のグループも襲ってくる事があるってわけね」
「そうですね、その可能性は否定できません」
おいおい、また戦闘になるって言うのか? 勘弁してほしいもんだ。
「今度はちゃんと会長にも戦ってもらわないとね。だけど、どうぜまたやられちゃうんでしょ? 今から美由にお礼言っときなさいよ」
夏美は俺の肩を軽く叩き、
「みんなに守られてばっかりじゃ、会長としての威厳が無くなっちゃうでしょ?」
「俺は無職なんだぞ。そう簡単に前線に出られるかってんだ。指令塔的役割でいいじゃねえか」
「何いってるの」
夏美は俺の背中を叩く、というか殴る。痛てえ、相変わらず傷はまだ完全には治っていないようだ。
まるで親の仇のように剣を振りまくっていた。そういえばこいつは剣士属性だったよな。半端ないヒットポイントだぞ、戦っている相手とまるで格が違うじゃねえか。しかも峰うちなのか刀が切れないのかわからんが、誰一人として殺している雰囲気はなく、派手に気絶しているようだ。お前は不殺の誓いを立てた流浪人か!
タケシとシンはというと、卒なく攻撃をかわし、こめかみやら延髄やらに手刀を華麗に繰り出していた。こいつらは武道の達人だったのか。
相変わらず他の連中の戦闘を見ている事しかできない俺、家の入り口付近でボケーっと見ていると、いきなり、
「会長、危ない!」
美由の声と同時に押されて地面に転がる。振り返ると美由が大男と近接戦闘中だった。美由の後ろには夏美がおり、美由は夏美をかばいながら大男の攻撃を耐え、呪文を繰り出している。こりゃあ、俺も男として加勢した方がいいな。だいぶ動けるようになったし。勇んで足を前に動かそうとしたその刹那、昨日味わったような違和感に襲われた。背中に何かが押し込まれている。何かの感覚を覚えると言うより違和感の方が強い。
背中に手を回すと、やはり、何か柄のついたものがあり、「またですか?」と突っ込みを入れている間に、下半身が若干粘性を持った液体に染まり、膝から崩れ落ちる俺。
足をはじめ全身に力が入らない。誰かが何かを叫んでいるが思うように聞こえないぜ、何て言ってるんだ? 会長か? 何だ? そんな事を考えている間に俺の視界を黒が覆いそうになる。視界が黒一色になる間際、「美由って蘇生の呪文を覚えてたっけ?」と切に願うのであった。
……
…………
………………
んっ? どうやらまだ生きているらしい。目を開けると、こちらの世界に来てからはお馴染みの部屋の天井だった。蛍光灯がやたらとまぶしいぜ。
「あっ、会長ぉ、気が付きましたかぁ?」
ベットの横で林檎の皮を剥いていた美由がいつもの笑顔で見つめていた。
「助かったのか? レジスタンスはどうした?」
「みなさんの力で全員逮捕しましたよ。会長を刺した人もちゃんと捕まえましたぁ」
「そうか、そりゃ良かったな。ところで、俺ってまたやられたのか?」
「はい、私がもう少ししっかりしていれば良かったのですがぁ、会長、すみません」
頭を下げ、剥いた林檎を差し出す美由。俺は一つ受け取り、口に放り込むと、、
「おっ、目が覚めたかい? まったく、いつもやられちゃうんだから」
福居と夏美が部屋に入って来た。開口一番そんな言葉か? もう少し怪我人に優しくできないものかねえ。
「まったくねえ。やっぱ会長は役に立たないわね。二回も死にかけちゃうなんてねえ、美由の呪文がなければ完全にお陀仏よ。きっと今ごろお葬式をやってたかもね」
いつもの様に夏美はニヤケ顔で見下ろしてきやがる。すまなかったねえ、頼りない会長で。でもまあ、美由の回復系呪文でなんとかまた生き返ることができたらしいな。
「あれっ? 会長、もう動けるんっすか?」
シンも部屋に入ってくるなり軽口を叩きやがる。一応言っておく、俺は生徒会長なんだぞ。しかし、全員を見る限り無事そうだ。結局怪我と言うかやられたのは俺だけってことなのか? 仕方ないだろ、俺には何の役職もないんだからな。
「お前らが強いのか、敵が弱いのかわからんな」
全員を見渡し呟くと、
「敵が弱いのではなく、あなた方の力が強大なのです。私たちこちらの世界の者では苦戦を強いられていたでしょう。あなた方がいてくれたので、一人の犠牲者も出さずに済んだのです」
シンの後ろにはタケシも来ており、いつもの笑顔で答えた。
「レジスタンスはあれで全部なの?」
夏美の問いにタケシは、
「いいえ、全てというわけではありません。派閥といいますか、いくつかのグループが存在するのです。さきほどのはその一グループに過ぎません」
「そう、じゃあ他のグループも襲ってくる事があるってわけね」
「そうですね、その可能性は否定できません」
おいおい、また戦闘になるって言うのか? 勘弁してほしいもんだ。
「今度はちゃんと会長にも戦ってもらわないとね。だけど、どうぜまたやられちゃうんでしょ? 今から美由にお礼言っときなさいよ」
夏美は俺の肩を軽く叩き、
「みんなに守られてばっかりじゃ、会長としての威厳が無くなっちゃうでしょ?」
「俺は無職なんだぞ。そう簡単に前線に出られるかってんだ。指令塔的役割でいいじゃねえか」
「何いってるの」
夏美は俺の背中を叩く、というか殴る。痛てえ、相変わらず傷はまだ完全には治っていないようだ。

