「なんだと」
俺及び他一同は、一斉に二階を見上げるが、既に人影は見当たらない。
「美由、本当に人がいたのか?」
「いた……と思いますぅ。二階を見ていたら人の影みたのが動いたんですぅ」
俺が疑いの表情をしているように見えたのか、俯いてしまった。
「まずいですね。もし、この建物の中にレジスタンスが潜んでいたとすると、我々がここに来たと知られてしまいますね。探しだしましょう」
タケシはおもむろに入り口に向かい歩きだし、
「行こう」
俺たちもタケシの後に続き、建物の中に向かう……って、すごい藪だぞ、こんなので到達できるのか? 俺は草木をかきわけながら入口らしい所を目指した。
やっとの思いで全員入口までたどり着くが、無理やり草をかきわけたもんで、あちこちきり傷になっている。こういうのって痛痒いんだよな、などと感想をもらしつつ建物の中を見渡すと、その中は当然電気など付くはずもなく薄暗い。まるで出来の悪いホラーハウスに来た様だ。
「うう……怖いですう」
美由は、先月の校内幽霊探索ツアー時のように夏美にしがみついていた。
「大丈夫よ美由、人類が滅んだってことは、幽霊も滅んでるって、何も出ないわよ」
夏美は訳のわからん理屈で美由の頭を撫でるが、違うような気もするぞ。
「とりあえず、二階に向かいましょう」
タケシの言葉に誘導されるように俺たちは階段を探し、二階へと歩を進め、到着すると一部屋ずつ見て回ることにした。ドア付近まで息を殺して近寄り、一気に踏み込む。刑事ドラマにありがちだなシチュエーションだが、これはこれで緊張するな。
最初の部屋に勢い良く踏み込む。
湿気を帯びた空気。今まで動いていなかったのか、咽返るほどに篭っている。
何故か居心地がすこぶる悪い。
なぜ……?
「……!!」
視界に入ってきたのは、ベットに横たわる人……やけに痩せてるぞ……おまけにピクリとも動かない……こりゃあ、もしかして……。
「ふあ、あああ」
俺が叫ぶより先に夏美が悲鳴をあげた。といっても両手で口を押さえているので声は漏れてはいない。
俺たちは各ベットに横たわるミイラと遭遇しちまったのだ。
「ひゃ、みいらだにゃあ」
さやかが珍しく青い顔をしている。
「ひっ、ひいい」
美由はその場に倒れこんでしまった。福居とシンも顔を青ざめている。
「これはひどいですね。おそらく入院して寝ている間にガスで絶命したのでしょう」
タケシはやけに落ち着いているな、少しは見習わないと。
俺は逃げ出したい気分だったが、他のメンバーの手前強気に振舞うことにする。
「ひどいな……これを見ると人類が滅亡したっていう事が理解できるぜ」
その光景は、できれば今後一生お目にかかりたくない光景だった。
「こんなのを病室ごとに拝まなくちゃいけないのか?」
「仕方ありません。美由さんが見たのがレジスタンスであれば、我々の存在に気づき、応援を呼ぶ可能性もありますから」
そうだな、タケシの言う通りだ。しかし辛い光景だ……俺たちは気絶した美由をなんとか正気に戻し、次の部屋に向かうが、当然の様に全員言葉はない。
その後の部屋は俺とタケシ、シンが入ることにした。さすがに夏美たちに何回もあんなのを見せる訳にはいかないからな。
二階の部屋を一部屋づつ見て回るがミイラ以外誰もいない。いや普通の人間がいても逆に驚くが。
ついに廊下の突き当たり、最後の部屋まで到達した俺たち一行は、
「行きますよ」
タケシが小声を発すると同時に俺とシンが部屋になだれ込む――。
――誰もいない。
ここにはミイラはないようだ。事務室か何かだったのか? 安全を確認し他の連中を呼ぶと、四人は恐る恐る部屋に入ってきた。
俺はホッと胸を撫で下ろした。よかったここでレジスタンスがウノやトランプで集会をやっていたら、たちまち戦闘になるだろう。全員は戦闘力があるだろうが、俺は一般村民だからな。なるべく戦闘には関わらないようにしないとな。
俺及び他一同は、一斉に二階を見上げるが、既に人影は見当たらない。
「美由、本当に人がいたのか?」
「いた……と思いますぅ。二階を見ていたら人の影みたのが動いたんですぅ」
俺が疑いの表情をしているように見えたのか、俯いてしまった。
「まずいですね。もし、この建物の中にレジスタンスが潜んでいたとすると、我々がここに来たと知られてしまいますね。探しだしましょう」
タケシはおもむろに入り口に向かい歩きだし、
「行こう」
俺たちもタケシの後に続き、建物の中に向かう……って、すごい藪だぞ、こんなので到達できるのか? 俺は草木をかきわけながら入口らしい所を目指した。
やっとの思いで全員入口までたどり着くが、無理やり草をかきわけたもんで、あちこちきり傷になっている。こういうのって痛痒いんだよな、などと感想をもらしつつ建物の中を見渡すと、その中は当然電気など付くはずもなく薄暗い。まるで出来の悪いホラーハウスに来た様だ。
「うう……怖いですう」
美由は、先月の校内幽霊探索ツアー時のように夏美にしがみついていた。
「大丈夫よ美由、人類が滅んだってことは、幽霊も滅んでるって、何も出ないわよ」
夏美は訳のわからん理屈で美由の頭を撫でるが、違うような気もするぞ。
「とりあえず、二階に向かいましょう」
タケシの言葉に誘導されるように俺たちは階段を探し、二階へと歩を進め、到着すると一部屋ずつ見て回ることにした。ドア付近まで息を殺して近寄り、一気に踏み込む。刑事ドラマにありがちだなシチュエーションだが、これはこれで緊張するな。
最初の部屋に勢い良く踏み込む。
湿気を帯びた空気。今まで動いていなかったのか、咽返るほどに篭っている。
何故か居心地がすこぶる悪い。
なぜ……?
「……!!」
視界に入ってきたのは、ベットに横たわる人……やけに痩せてるぞ……おまけにピクリとも動かない……こりゃあ、もしかして……。
「ふあ、あああ」
俺が叫ぶより先に夏美が悲鳴をあげた。といっても両手で口を押さえているので声は漏れてはいない。
俺たちは各ベットに横たわるミイラと遭遇しちまったのだ。
「ひゃ、みいらだにゃあ」
さやかが珍しく青い顔をしている。
「ひっ、ひいい」
美由はその場に倒れこんでしまった。福居とシンも顔を青ざめている。
「これはひどいですね。おそらく入院して寝ている間にガスで絶命したのでしょう」
タケシはやけに落ち着いているな、少しは見習わないと。
俺は逃げ出したい気分だったが、他のメンバーの手前強気に振舞うことにする。
「ひどいな……これを見ると人類が滅亡したっていう事が理解できるぜ」
その光景は、できれば今後一生お目にかかりたくない光景だった。
「こんなのを病室ごとに拝まなくちゃいけないのか?」
「仕方ありません。美由さんが見たのがレジスタンスであれば、我々の存在に気づき、応援を呼ぶ可能性もありますから」
そうだな、タケシの言う通りだ。しかし辛い光景だ……俺たちは気絶した美由をなんとか正気に戻し、次の部屋に向かうが、当然の様に全員言葉はない。
その後の部屋は俺とタケシ、シンが入ることにした。さすがに夏美たちに何回もあんなのを見せる訳にはいかないからな。
二階の部屋を一部屋づつ見て回るがミイラ以外誰もいない。いや普通の人間がいても逆に驚くが。
ついに廊下の突き当たり、最後の部屋まで到達した俺たち一行は、
「行きますよ」
タケシが小声を発すると同時に俺とシンが部屋になだれ込む――。
――誰もいない。
ここにはミイラはないようだ。事務室か何かだったのか? 安全を確認し他の連中を呼ぶと、四人は恐る恐る部屋に入ってきた。
俺はホッと胸を撫で下ろした。よかったここでレジスタンスがウノやトランプで集会をやっていたら、たちまち戦闘になるだろう。全員は戦闘力があるだろうが、俺は一般村民だからな。なるべく戦闘には関わらないようにしないとな。

