美由は美由であっけにとられたかの様子で、完全にフリーズしていた。タケシやキョウと会話をしていたので、何となくこの世界はこんな奴らばっかりなんだろうなと言う俺の想像だったのだが、こんな破天荒野郎もいたのか。
「では、明日ご案内します。今日はゆっくり休んでください。シン行きますよ」
「ういっす。タケシさん待ってくださいよー」
そう言い残し二人は部屋を出て行った。しかし……シンとか言うあいつは本当に仲間なのか? とてつもなく頼りにならないのだが、まあ、それは俺も一緒か。
翌日、美由の回復魔法のおかげでなんと動けるまでは回復した。普通なら全治三ヶ月ってところだな、呪文様々だぜ。部屋で他の面子と雑談をしていると、シンがドアから顔を出し、
「準備ができたっす。こっちっす」
促されるまま、俺たちはある部屋に通された。そこは、最初にこの世界にやってきた部屋で、どうやら時空移動はこの部屋でないとできないらしい。そんな重要な部屋には見えないのだが、まあそれは置いといて。
第三の世界へは、俺たち五人の他にタケシとシンの七人が行くことになった。
「では行きます。全員で手を繋ぎ輪を作って目を瞑ってください」
タケシの言葉に全員が従い目を閉じる――。
「――もう結構です」
こっちの世界に来た時のようにサブリミナル効果を使ったものを想像していた俺は、あっさりと移動が行われたことに拍子抜けし挙動不信に辺りを見渡した。どこだここは? 全員の顔を見ると、みんな同じ意見のようだ。
しかしすごいなここは、目を開けた俺たちを待っていたのは、鬱葱と茂る密林だった。人の手が加えられていないジャングルのようだな……。
「すごいにゃあ。ジャングルだにゃあ」
「ひえっ、どこですかぁ、ここは」
さやかと美由の対照的な反応が面白い。なんて言ってる場合じゃないな。とにかく俺様を刺しやがった奴を見つけけてお仕置きをしないと。
「うおっ、すげーっすね。すげーすげー」
シンは、さやかに負けず劣らず無駄にテンションの高いやつだな。なんか問題児が増えたような気がする。本当にこいつでいいのか? タケシ。
「犯人の居場所は分かってるのか?」
「ええ、アンゴルのスキャンにより、おおまかな座標値は押さえましたが、詳細は不明です。何分私もこちらに来るのは初めてなもので、こちらの方向だと思いますが」
タケシは、密林の奥を指差した。
おいおい、これからこんなジャングルを進まなくちゃならないのか?
俺たち一行は密林を進むが、人類が滅亡したってだけあってかなりの荒れ放題で当然道などない。
七人での行進は想像以上の困難だ。ちょっとしたRPGっぽい冒険だぞ。こんな密林の中を行進するのって。さやかは面白がって先頭を歩き、蛇かなんかを捕まえては美由に見せ、美由は美由でいちいち「きゃあ、きゃあ」言っている。ひとこと言っておく、遠足じゃないんだぞ。
最初にいた地点から三十分ほど歩いただろうか。突然視界が開け俺たちの前に廃墟らしきものが出現した。
「なんじゃこりゃ?」
俺たちは一斉にそれを見上げるが使われなくなってからそうとう経っているようだ。五、六十年くらいは経過しているなこりゃ。
「ここは第二次世界大戦当時の病院の様ですね。昨日申した通り、人類が滅亡してしまったので、建物だけが残っているようです」
タケシは、入り口付近の看板を拾いあげていた。
「人間は滅亡しても、動植物は生きているんだな」
俺のいたってシンプルな問いに、タケシはスマイル百パーセントで、
「そうですね。動植物の生命力は私たちの想像を超えるものがありますので、生き残ったのではないでしょうか」
「ねえ、この世界の人類が滅亡した原因って何なの?」
夏美は根本的なことを聞いてきた。そうだ俺も言われるがままの言葉を信じており、そんな簡単な疑問も浮かばなかった。訳のわからんことばかり発生しているから、思考回路がバカになっちまったのか?
夏美の問いにタケシは冷静に口を開き、
「私も見たわけではありませんが、アンゴルによると、どうやら第二次世界大戦時に使用されたある化学物質が地球上全てに拡散してしまい。そのガスを吸い込んだ人類が次々に倒れていったそうです」
「おいおい、じゃあ、俺たちはそのガスとやらを吸い込んで死んじまうんじゃないのか?」
「それは心配ありません。アンゴルによる超光学的大気分析によると、その生物兵器のガスは約五十年で死滅するはずです。現に我々がここに来てから数十分が経過しましたが、みなさん無事ですしね」
「それなら早く言え、アンゴルの計算が十年くらいずれていたら、俺たちはあっさりやられていたじゃねえか」
「まっ、レジスタンスが根城にしている時点でガスの効果がなくなったと分かっていたのですがね」
「まあ、それもそうだな」
ここには、夏美もいるんだ。もし、その化学物質とやらで危険ならタケシは連れてこないだろうしな。一安心だぜと思った瞬間、
「あっ、誰かいますぅ」
二階を見上げていた美由が声をあげた。
「では、明日ご案内します。今日はゆっくり休んでください。シン行きますよ」
「ういっす。タケシさん待ってくださいよー」
そう言い残し二人は部屋を出て行った。しかし……シンとか言うあいつは本当に仲間なのか? とてつもなく頼りにならないのだが、まあ、それは俺も一緒か。
翌日、美由の回復魔法のおかげでなんと動けるまでは回復した。普通なら全治三ヶ月ってところだな、呪文様々だぜ。部屋で他の面子と雑談をしていると、シンがドアから顔を出し、
「準備ができたっす。こっちっす」
促されるまま、俺たちはある部屋に通された。そこは、最初にこの世界にやってきた部屋で、どうやら時空移動はこの部屋でないとできないらしい。そんな重要な部屋には見えないのだが、まあそれは置いといて。
第三の世界へは、俺たち五人の他にタケシとシンの七人が行くことになった。
「では行きます。全員で手を繋ぎ輪を作って目を瞑ってください」
タケシの言葉に全員が従い目を閉じる――。
「――もう結構です」
こっちの世界に来た時のようにサブリミナル効果を使ったものを想像していた俺は、あっさりと移動が行われたことに拍子抜けし挙動不信に辺りを見渡した。どこだここは? 全員の顔を見ると、みんな同じ意見のようだ。
しかしすごいなここは、目を開けた俺たちを待っていたのは、鬱葱と茂る密林だった。人の手が加えられていないジャングルのようだな……。
「すごいにゃあ。ジャングルだにゃあ」
「ひえっ、どこですかぁ、ここは」
さやかと美由の対照的な反応が面白い。なんて言ってる場合じゃないな。とにかく俺様を刺しやがった奴を見つけけてお仕置きをしないと。
「うおっ、すげーっすね。すげーすげー」
シンは、さやかに負けず劣らず無駄にテンションの高いやつだな。なんか問題児が増えたような気がする。本当にこいつでいいのか? タケシ。
「犯人の居場所は分かってるのか?」
「ええ、アンゴルのスキャンにより、おおまかな座標値は押さえましたが、詳細は不明です。何分私もこちらに来るのは初めてなもので、こちらの方向だと思いますが」
タケシは、密林の奥を指差した。
おいおい、これからこんなジャングルを進まなくちゃならないのか?
俺たち一行は密林を進むが、人類が滅亡したってだけあってかなりの荒れ放題で当然道などない。
七人での行進は想像以上の困難だ。ちょっとしたRPGっぽい冒険だぞ。こんな密林の中を行進するのって。さやかは面白がって先頭を歩き、蛇かなんかを捕まえては美由に見せ、美由は美由でいちいち「きゃあ、きゃあ」言っている。ひとこと言っておく、遠足じゃないんだぞ。
最初にいた地点から三十分ほど歩いただろうか。突然視界が開け俺たちの前に廃墟らしきものが出現した。
「なんじゃこりゃ?」
俺たちは一斉にそれを見上げるが使われなくなってからそうとう経っているようだ。五、六十年くらいは経過しているなこりゃ。
「ここは第二次世界大戦当時の病院の様ですね。昨日申した通り、人類が滅亡してしまったので、建物だけが残っているようです」
タケシは、入り口付近の看板を拾いあげていた。
「人間は滅亡しても、動植物は生きているんだな」
俺のいたってシンプルな問いに、タケシはスマイル百パーセントで、
「そうですね。動植物の生命力は私たちの想像を超えるものがありますので、生き残ったのではないでしょうか」
「ねえ、この世界の人類が滅亡した原因って何なの?」
夏美は根本的なことを聞いてきた。そうだ俺も言われるがままの言葉を信じており、そんな簡単な疑問も浮かばなかった。訳のわからんことばかり発生しているから、思考回路がバカになっちまったのか?
夏美の問いにタケシは冷静に口を開き、
「私も見たわけではありませんが、アンゴルによると、どうやら第二次世界大戦時に使用されたある化学物質が地球上全てに拡散してしまい。そのガスを吸い込んだ人類が次々に倒れていったそうです」
「おいおい、じゃあ、俺たちはそのガスとやらを吸い込んで死んじまうんじゃないのか?」
「それは心配ありません。アンゴルによる超光学的大気分析によると、その生物兵器のガスは約五十年で死滅するはずです。現に我々がここに来てから数十分が経過しましたが、みなさん無事ですしね」
「それなら早く言え、アンゴルの計算が十年くらいずれていたら、俺たちはあっさりやられていたじゃねえか」
「まっ、レジスタンスが根城にしている時点でガスの効果がなくなったと分かっていたのですがね」
「まあ、それもそうだな」
ここには、夏美もいるんだ。もし、その化学物質とやらで危険ならタケシは連れてこないだろうしな。一安心だぜと思った瞬間、
「あっ、誰かいますぅ」
二階を見上げていた美由が声をあげた。

