キョウと名乗る女性に俺たちが通された部屋は、どこかのリビングのような部屋だった。十畳ほどの部屋に高級そうなソファがテーブルを囲むように配置されている。
「しかし、これはどういうことなんだ。」
全員が座るのを見てから、俺は全員の顔を見渡した。
「ひゃあ、本当に違う世界に来てしまったにゃあ。これはなーに?」
さやかは、楽しそうに色々なものを物色していた。こいつは、この事態を把握しているのだろうか。いまいち謎である。
「私たちどうなっちゃったの? ここは本当に別世界なの? どうしよう……」
夏美は、責任が自分にあるがごとく、涙目になり俺を見つめた。俺は答えを持ち合わせておらず言葉を発する事が出来ない。少しの沈黙の後、福居がポツリと、
「ここは本当に別世界のようだね。いわゆるパラレルワールドってやつだと思うよ。生徒会室であの光を見ることによってこちらの世界にワープしてしまったのだと思う。僕たちの生活とは似て非なるもの。つまりもう一つの世界だと思う。たまたま僕たちがあっちの世界に生まれただけで、こっちに存在する可能性もあったってことだよ」
おい福居、お前はなんでそんなに冷静に分析してるんだ。俺たちは常識では、考えられない体験をしてるんだぞ。こんなの絶対にありえない。みんなで夢を見ているに違いない。
「さやか、俺の頬をつねってくれ」そう言うとさやかがおもしろそうに俺の頬をつねり激痛が走る。いてて……どうやら夢ではないようだ。
しばらくは全員が混乱を抑えているようにさらに沈黙が続くが、意外にもそれを破ったのは部屋の隅で小さく座っていた美由だった。
「みなさん……」
美由の言葉に全員が美由を見つめると、いつものようにビビリ全開の美由ではなく、立ち上がり真剣な表情を浮かべており、
「みなさん、ごめんなさい。私がみなさんをここまでお連れしました」
擬音が聞こえるくらい深々と頭を下げる美由。
「はい?」
全員の声が揃ってしまった。いきなり美由は何を言ってるんだ? 私が連れて来たって……えっ? 美由は、こうなることがわかってたのか? まさかな。この場を和ませようとしたジョークだろ?
「ジョークではありません……実は私はこちらの世界の人間で、あなた方……南校生徒会メンバーの全員をこの世界に導くことが私の任務だったのです」
「ちょっ、ちょっと、美由、意味がわからないわ。いきなりどうしちゃったのよ」
夏美は動揺を隠せない表情で美由を見つめていた。
「すみません。訳あって、あなた方全員をこちらの世界にお連れすることが必要だったのです」
「と言う事は、美由さん。あなたは元々こちらの世界の住人で、その任務の為に僕たちの世界にやって来た。と、言う事でしょうか」
腕を組みながら壁にもたれていた福居は美由に向き直り真剣な顔で聞くが、何故お前はそんなに悟った感じなんだ?
「そうです。私は元々こちらの世界で暮らしていました。ですが任務を与えられ、みなさんの世界に行くことになったのです」
「ちょっ、ちょっと待ってよ美由。だって、私たちは学校ずっと一緒だったじゃないの」
「はい、私があの世界に行ったのはちょうど五年前なんです。夏美さんと仲良くなり、夏美さんを正しい道に導かせることが私に与えられた使命でした」
「……」
夏美は驚愕の表情をしており、言葉を発することができないでいるようだ。
「本当にすみません。本当に皆さんの力が必要なのです」
「俺達の力が必要って、俺達はただの高校生だろうが。美由……いきなり何言ってるんだよ。任務ってのは何なんだ? 最初から説明してくれ」
俺の言葉が叱責に聞こえたのか、美由はビクッと小さく震えると注意していなければ聞こえないような小さい声で話しはじめた。
「実は……私もみなさんがどういう力を持っていて、何に対処するのかは聞かされていませんでした。ただ、五年前に突然皆さんの世界に行く事を命じられ、その任務が、南校生徒会をこちらの世界に連れてくる事だったのです」
「南校生徒会って、俺達なのか? 俺達は偶然南校に進学して偶然生徒会になったみたいなもんだぞ、ならない可能性だってあったのに」
「皆さんでないとダメなんです。会長に夏美さん、さやかさん、福居さんです。これは私がそちらの世界に行った時からの規定事項でした。誰一人欠かす事無く連れてくるように、と」
「では、美由さんは僕たちが南校生徒会に入る事を最初から知っていたのですか?」
福居はさらに何か考え込んでいるような素振りでいる。
「入ってもらえる確証はありませんでした。ただひとつ分かっていることは、この皆さんでないといけないと言う事だけでした。ですから私は皆さんが誰一人欠けることなく生徒会に入ってもらえるようにいろいろと画策をさせてもらいました。任務のためとは言え、騙すようなマネまでしてしまって、皆さんにはどうお詫びしてよいか……本当に……すみま……せんでした」
再び深く頭を下げる美由。顔を上げると頬に涙の筋が見え、肩を震わせて嗚咽を漏らしはじめた。
「しかし、これはどういうことなんだ。」
全員が座るのを見てから、俺は全員の顔を見渡した。
「ひゃあ、本当に違う世界に来てしまったにゃあ。これはなーに?」
さやかは、楽しそうに色々なものを物色していた。こいつは、この事態を把握しているのだろうか。いまいち謎である。
「私たちどうなっちゃったの? ここは本当に別世界なの? どうしよう……」
夏美は、責任が自分にあるがごとく、涙目になり俺を見つめた。俺は答えを持ち合わせておらず言葉を発する事が出来ない。少しの沈黙の後、福居がポツリと、
「ここは本当に別世界のようだね。いわゆるパラレルワールドってやつだと思うよ。生徒会室であの光を見ることによってこちらの世界にワープしてしまったのだと思う。僕たちの生活とは似て非なるもの。つまりもう一つの世界だと思う。たまたま僕たちがあっちの世界に生まれただけで、こっちに存在する可能性もあったってことだよ」
おい福居、お前はなんでそんなに冷静に分析してるんだ。俺たちは常識では、考えられない体験をしてるんだぞ。こんなの絶対にありえない。みんなで夢を見ているに違いない。
「さやか、俺の頬をつねってくれ」そう言うとさやかがおもしろそうに俺の頬をつねり激痛が走る。いてて……どうやら夢ではないようだ。
しばらくは全員が混乱を抑えているようにさらに沈黙が続くが、意外にもそれを破ったのは部屋の隅で小さく座っていた美由だった。
「みなさん……」
美由の言葉に全員が美由を見つめると、いつものようにビビリ全開の美由ではなく、立ち上がり真剣な表情を浮かべており、
「みなさん、ごめんなさい。私がみなさんをここまでお連れしました」
擬音が聞こえるくらい深々と頭を下げる美由。
「はい?」
全員の声が揃ってしまった。いきなり美由は何を言ってるんだ? 私が連れて来たって……えっ? 美由は、こうなることがわかってたのか? まさかな。この場を和ませようとしたジョークだろ?
「ジョークではありません……実は私はこちらの世界の人間で、あなた方……南校生徒会メンバーの全員をこの世界に導くことが私の任務だったのです」
「ちょっ、ちょっと、美由、意味がわからないわ。いきなりどうしちゃったのよ」
夏美は動揺を隠せない表情で美由を見つめていた。
「すみません。訳あって、あなた方全員をこちらの世界にお連れすることが必要だったのです」
「と言う事は、美由さん。あなたは元々こちらの世界の住人で、その任務の為に僕たちの世界にやって来た。と、言う事でしょうか」
腕を組みながら壁にもたれていた福居は美由に向き直り真剣な顔で聞くが、何故お前はそんなに悟った感じなんだ?
「そうです。私は元々こちらの世界で暮らしていました。ですが任務を与えられ、みなさんの世界に行くことになったのです」
「ちょっ、ちょっと待ってよ美由。だって、私たちは学校ずっと一緒だったじゃないの」
「はい、私があの世界に行ったのはちょうど五年前なんです。夏美さんと仲良くなり、夏美さんを正しい道に導かせることが私に与えられた使命でした」
「……」
夏美は驚愕の表情をしており、言葉を発することができないでいるようだ。
「本当にすみません。本当に皆さんの力が必要なのです」
「俺達の力が必要って、俺達はただの高校生だろうが。美由……いきなり何言ってるんだよ。任務ってのは何なんだ? 最初から説明してくれ」
俺の言葉が叱責に聞こえたのか、美由はビクッと小さく震えると注意していなければ聞こえないような小さい声で話しはじめた。
「実は……私もみなさんがどういう力を持っていて、何に対処するのかは聞かされていませんでした。ただ、五年前に突然皆さんの世界に行く事を命じられ、その任務が、南校生徒会をこちらの世界に連れてくる事だったのです」
「南校生徒会って、俺達なのか? 俺達は偶然南校に進学して偶然生徒会になったみたいなもんだぞ、ならない可能性だってあったのに」
「皆さんでないとダメなんです。会長に夏美さん、さやかさん、福居さんです。これは私がそちらの世界に行った時からの規定事項でした。誰一人欠かす事無く連れてくるように、と」
「では、美由さんは僕たちが南校生徒会に入る事を最初から知っていたのですか?」
福居はさらに何か考え込んでいるような素振りでいる。
「入ってもらえる確証はありませんでした。ただひとつ分かっていることは、この皆さんでないといけないと言う事だけでした。ですから私は皆さんが誰一人欠けることなく生徒会に入ってもらえるようにいろいろと画策をさせてもらいました。任務のためとは言え、騙すようなマネまでしてしまって、皆さんにはどうお詫びしてよいか……本当に……すみま……せんでした」
再び深く頭を下げる美由。顔を上げると頬に涙の筋が見え、肩を震わせて嗚咽を漏らしはじめた。

