ショップエリアに着いてからは女子陣の買い物にひたすら付き合うしかない、俺は特に買う予定はなかったものだから、楽しそうな笑顔で歩く三人娘の後ろを福居と金魚のフンのようについてまわった。
店内を二周ほどあっちこっちとねり歩き、さやかが漫画を買いたいと言ってぞろぞろと本屋に入る俺達。新店舗ってだけあって、かなり広いフロアだなこりゃ。こんな中から欲しい本が見つかるのか?
しばらくフロア内を散策するが、どこに何があるのかさっぱりわからん。
「ちょっとお店の人に聞いてくるにゃあ」
さやかは小走りにエプロン姿の女性の元に駆け寄り話かけている。女性が指差す方向を飛び上がって見ようとするが、お前の身長じゃ見えんだろ。しばらくすると、何かに頷きフロアの奥の方に走っていってしまった。
「さやかー、ちゃんと戻ってくるのよー」
夏美の大声に手を振って答えるさやか。まったく、これじゃあ完全にさやかの子守状態だな。しかも速攻で姿を見失ってしまった。やれやれ、まあ携帯で呼び出せばいいか。
「しばらくは自由行動ね。集合は本屋さんの入り口にしましょうか」
そう言い残すと夏美は美由と「お弁当コーナー」に向かい歩き出し、俺と福居が取り残された。しょうがない、俺達も時間潰すかと、新刊コーナーで立ち読みし、しばらく読んでいたがいかんせん飽きてきたな、まあ、途中からの漫画ほど意味不明なものはないな。と、集合場所である本屋の入口に向かうと、吹き抜けのあるエントランスで夏美が何かを読んでいた。
「おいおい、本を外に持ち出して読んじゃあまずいだろ。万引犯と間違えられるぜ」
真剣に読みふける夏美に言うも当の本人はてんで気付かない様子で、
「……」
もしかして完全シカトっすか? 若干傷つきかけたがよく見るとシカトと言うより読むのに夢中で俺に気付いてないみたいだ。
「おい、夏美!」
少し大きな声で呼ぶと、読んでいた本からはっと顔を上げ、
「あっ、会長いたの?」
「いたの? じゃない。本屋の外で本なんか読んでると万引き犯に間違えられるぞ」
「残念でした。これはちゃんと買ったのよ」
「買ったのなら家に帰ってから読めばいいじゃないか」
「みんなが来そうになかったから暇つぶしにね。この本を見た瞬間に運命的なものを感じたのよ。だから家まで待ちきれなかったの。何? ここで読んじゃいけないってい言うの?」
「いや、そう言うわけじゃないけどな。熱心に読んでたからさ」
そう言いかけて、夏美の手元に視線を移すと、その本は「夢占い」なんていう文字が確認できた。
「って、お前が運命を感じたのは夢占いの本なのか? 随分とメルヘンちっくじゃないか」
「そうよ、悪いの? ちょうどこの本が目に入ったから買ったってわけ」
夏美は電話帳ほどもあるハードカバーの夢占いとやらのに再び視線を落とし、真剣に読み進めている。いつもは俺を会長とも思わない態度で罵詈雑言を浴びせまっくっているくせに、やたらと乙女チックな一面もあるもんだ。何となくいつもとは雰囲気が違い、気色が悪いが口にすると俺の生命の危機が迫ってしまいのうなので、あえて黙っていることにする。
しばらくは分厚い夢占いの本を読みふける夏美とその横に立つ俺と言う妙な構図であったが、福居と美由が戻り、最後にたたたと小走りで戻ってきたさやかが、
「お待たせにゃあ」
と頭をかきながら舌を出すと、
「さて、じゃあ買物を続けましょう」
夏美の命によりさらにショッピングモール探求を続ける俺達一向であった。さらに店内を二周ほどし、どうして女は買い物好きでおまけに何度も店を行ったり来たりするんだと疑問を感じ始め、昼食のために入ったパスタ屋で若干疲れたぞと抗議をしようとした頃、
「買いたいものも買ったし、そろそろ帰りましょうか?」
夏美は食後のアイスコーヒーを飲み終えると、俺に袋を分配させながら、
「ほら、さやかも美由も荷物渡したら? まだ持てそうよ」
やっぱ荷物持ちなんだな。しかしすげえ量だぞ。などと言う抗議も聞き入れてもらえず、結局山のような荷物を抱えさせられる俺、重いって。
数十分後――俺以外の奴らは身軽な格好で駅へと向かい帰りの電車に乗車中だ。
「すごく楽しかったわね。今度はどこに行こうかしら?」
夏美は買ったばっかりのピアスを袋から出し眺めている。
さやかと美由は紙パックのジュースをちゅうちゅうと飲みながら、
「今度は遊園地がいいにゃあ」
「遊園地ですかぁ、楽しそうですぅ」
三人とも実に楽しそうだ。俺はというと、行商の人並の荷物を抱えつり革にすら掴まれない状態だってのに、お気楽なもんだな。
「みんなでどこか出かけるって言うのはやはり楽しいね。どこでもいいよ。夏美さん企画をお願いします」
福居はどうしてそんなに爽やかなんだ? 俺だけでは荷物は持てないって駄々をこねて半分持たせているのに。
でもまあ、楽しかったのと言うのは事実で、次のイベントも荷物持ちが無ければ楽しみだな。
そんな会話をしているうちに駅に到着。朝集合した風車の前に戻ると、他の連中はバス乗り場に向かい歩き出し、俺も駐輪場からチャリを引っ張り出して川沿いの道を漕ぎはじめた。
店内を二周ほどあっちこっちとねり歩き、さやかが漫画を買いたいと言ってぞろぞろと本屋に入る俺達。新店舗ってだけあって、かなり広いフロアだなこりゃ。こんな中から欲しい本が見つかるのか?
しばらくフロア内を散策するが、どこに何があるのかさっぱりわからん。
「ちょっとお店の人に聞いてくるにゃあ」
さやかは小走りにエプロン姿の女性の元に駆け寄り話かけている。女性が指差す方向を飛び上がって見ようとするが、お前の身長じゃ見えんだろ。しばらくすると、何かに頷きフロアの奥の方に走っていってしまった。
「さやかー、ちゃんと戻ってくるのよー」
夏美の大声に手を振って答えるさやか。まったく、これじゃあ完全にさやかの子守状態だな。しかも速攻で姿を見失ってしまった。やれやれ、まあ携帯で呼び出せばいいか。
「しばらくは自由行動ね。集合は本屋さんの入り口にしましょうか」
そう言い残すと夏美は美由と「お弁当コーナー」に向かい歩き出し、俺と福居が取り残された。しょうがない、俺達も時間潰すかと、新刊コーナーで立ち読みし、しばらく読んでいたがいかんせん飽きてきたな、まあ、途中からの漫画ほど意味不明なものはないな。と、集合場所である本屋の入口に向かうと、吹き抜けのあるエントランスで夏美が何かを読んでいた。
「おいおい、本を外に持ち出して読んじゃあまずいだろ。万引犯と間違えられるぜ」
真剣に読みふける夏美に言うも当の本人はてんで気付かない様子で、
「……」
もしかして完全シカトっすか? 若干傷つきかけたがよく見るとシカトと言うより読むのに夢中で俺に気付いてないみたいだ。
「おい、夏美!」
少し大きな声で呼ぶと、読んでいた本からはっと顔を上げ、
「あっ、会長いたの?」
「いたの? じゃない。本屋の外で本なんか読んでると万引き犯に間違えられるぞ」
「残念でした。これはちゃんと買ったのよ」
「買ったのなら家に帰ってから読めばいいじゃないか」
「みんなが来そうになかったから暇つぶしにね。この本を見た瞬間に運命的なものを感じたのよ。だから家まで待ちきれなかったの。何? ここで読んじゃいけないってい言うの?」
「いや、そう言うわけじゃないけどな。熱心に読んでたからさ」
そう言いかけて、夏美の手元に視線を移すと、その本は「夢占い」なんていう文字が確認できた。
「って、お前が運命を感じたのは夢占いの本なのか? 随分とメルヘンちっくじゃないか」
「そうよ、悪いの? ちょうどこの本が目に入ったから買ったってわけ」
夏美は電話帳ほどもあるハードカバーの夢占いとやらのに再び視線を落とし、真剣に読み進めている。いつもは俺を会長とも思わない態度で罵詈雑言を浴びせまっくっているくせに、やたらと乙女チックな一面もあるもんだ。何となくいつもとは雰囲気が違い、気色が悪いが口にすると俺の生命の危機が迫ってしまいのうなので、あえて黙っていることにする。
しばらくは分厚い夢占いの本を読みふける夏美とその横に立つ俺と言う妙な構図であったが、福居と美由が戻り、最後にたたたと小走りで戻ってきたさやかが、
「お待たせにゃあ」
と頭をかきながら舌を出すと、
「さて、じゃあ買物を続けましょう」
夏美の命によりさらにショッピングモール探求を続ける俺達一向であった。さらに店内を二周ほどし、どうして女は買い物好きでおまけに何度も店を行ったり来たりするんだと疑問を感じ始め、昼食のために入ったパスタ屋で若干疲れたぞと抗議をしようとした頃、
「買いたいものも買ったし、そろそろ帰りましょうか?」
夏美は食後のアイスコーヒーを飲み終えると、俺に袋を分配させながら、
「ほら、さやかも美由も荷物渡したら? まだ持てそうよ」
やっぱ荷物持ちなんだな。しかしすげえ量だぞ。などと言う抗議も聞き入れてもらえず、結局山のような荷物を抱えさせられる俺、重いって。
数十分後――俺以外の奴らは身軽な格好で駅へと向かい帰りの電車に乗車中だ。
「すごく楽しかったわね。今度はどこに行こうかしら?」
夏美は買ったばっかりのピアスを袋から出し眺めている。
さやかと美由は紙パックのジュースをちゅうちゅうと飲みながら、
「今度は遊園地がいいにゃあ」
「遊園地ですかぁ、楽しそうですぅ」
三人とも実に楽しそうだ。俺はというと、行商の人並の荷物を抱えつり革にすら掴まれない状態だってのに、お気楽なもんだな。
「みんなでどこか出かけるって言うのはやはり楽しいね。どこでもいいよ。夏美さん企画をお願いします」
福居はどうしてそんなに爽やかなんだ? 俺だけでは荷物は持てないって駄々をこねて半分持たせているのに。
でもまあ、楽しかったのと言うのは事実で、次のイベントも荷物持ちが無ければ楽しみだな。
そんな会話をしているうちに駅に到着。朝集合した風車の前に戻ると、他の連中はバス乗り場に向かい歩き出し、俺も駐輪場からチャリを引っ張り出して川沿いの道を漕ぎはじめた。

