私は放課後、職員室にいた。
これから学校の中を井上先生と歩くのだ。
職員室にはたくさんの先生がいて、岩沢と井上先生を探すのは少し苦労した。
「すみません、岩沢先生と、井上先生いらっしゃいますか」
私が入り口に近いところに座っている教師に尋ねると、その教師は窓のほうを指差した。
私は静かに二人に近づく。
職員室がざわめいていて、二人は私が近づいてきたことに気づいていない。
「…その指輪ははずしておきなさい。生徒が騒ぐと、面倒だから…」
途切れ途切れ、会話の端々が聞こえてきた。
えっ、指輪?
私にはうまく聞き取れなかった。
でも指輪、という言葉だけは耳に残っていたので、井上先生の指を見る。
繊細そうな細い指。
薬指に自然と目が行く。
ティファニーのシルバーリングが光っていた。
「まぁ、婚約者がいるのに、隠さなくちゃいけないのもかわいそうな気もするけど」
岩沢の声が頭の中をめぐる。
婚約、者?
井上先生、婚約者がいるの?
私は井上先生のほうを盗み見る。
表情を崩さず、黙ってうなずいている。
婚約、指輪。
確かに、先生はかっこいいよ。
だって春雪なんだもん。
これから学校の中を井上先生と歩くのだ。
職員室にはたくさんの先生がいて、岩沢と井上先生を探すのは少し苦労した。
「すみません、岩沢先生と、井上先生いらっしゃいますか」
私が入り口に近いところに座っている教師に尋ねると、その教師は窓のほうを指差した。
私は静かに二人に近づく。
職員室がざわめいていて、二人は私が近づいてきたことに気づいていない。
「…その指輪ははずしておきなさい。生徒が騒ぐと、面倒だから…」
途切れ途切れ、会話の端々が聞こえてきた。
えっ、指輪?
私にはうまく聞き取れなかった。
でも指輪、という言葉だけは耳に残っていたので、井上先生の指を見る。
繊細そうな細い指。
薬指に自然と目が行く。
ティファニーのシルバーリングが光っていた。
「まぁ、婚約者がいるのに、隠さなくちゃいけないのもかわいそうな気もするけど」
岩沢の声が頭の中をめぐる。
婚約、者?
井上先生、婚約者がいるの?
私は井上先生のほうを盗み見る。
表情を崩さず、黙ってうなずいている。
婚約、指輪。
確かに、先生はかっこいいよ。
だって春雪なんだもん。

