ピアスホールをあけてから、私の中で何かが変わった。

何が変わったのかはわからないけれど、自由になれた気がした。

春雪と会った翌日から、私はまた塾に通うようになった。

前とは気持ちの面でも楽になった。

勉強をしていても楽しいと思える。

塾で友達とお弁当を食べると、幸せだと思う。

テストでいい点をとると、心が満たされる。

それに何より、春雪がそばにいてくれる。


あの日、春雪は何かあったら連絡してこいよ、ってメールアドレスを教えてくれたんだ。

まだメールしたことはないけど、私の携帯にはちゃんと春雪の名前。

それだけでなんだか嬉しくなる。

自分はいらない子じゃないんだ。

ちゃんと存在してもいいんだ。

春雪は私の存在を肯定してくれた、初めての男の人。

春雪のことを考えるたび、胸がどきどきする。

呼吸が苦しくなる。

嬉しくて、嬉しくて、涙が出そうになる。

これが、きっと『恋』なんだ、ってことに気づくのはもっと後なんだけれど。

塾での成績はうなぎのぼりに上昇し始めた。

毎日行われる小テストと、月ごとに行われるクラス編成のテスト。

そのどちらでも私はいい成績を取れるようになった。