3つのバイトが珍しく休みの木曜日だった。


家を出て家族と連絡を絶ってから早くも2ヵ月がすぎていた。


もはやあの家族と暮らしていた日々は夢幻のような思い出に変わっていた。



私が久々の休日にウィンドウショッピングをしていたときだった。



見覚えのある男の子に偶然出会ったのだ。



私はメイクもせず、洋服だって望んでいるようなスタイルではなかったから、最初彼に気づいたときは知らないふりで通そうかと思うくらいだった。



でも彼も私に負けないくらい記憶の中の彼とは違っていた。


コータ‥。


思わず生唾を飲み込む。

今までのコータからは想像がつかないほど地味になっていて目を疑うほどだった。


いろは‥!!


コータの口がそう動いた。


私は曖昧に笑みを浮かべながらも久々に知り合いにあった喜びが胸をぎゅっと締め付けた。



なつかしい‥。


たった2ヵ月前に別れたばかりなのになんでこんなになつかしいのかな。


私のいないこの2ヵ月の間に、コータにどんな変化があったのかは私にはわからないけれど、コータは私を見るなり、目を細め人なつこい笑みを浮かべた。

探していたよ、いろは‥。