R e : Y o u



「まぁ今日あなたが中庭にちゃんと来てくれたおかげで話すことも出来たわけですしね」


その独り言を私は聞き逃さなかった。
瞬間的に田中君の好きな人が分かってしまった。



なんて最悪なタイミング。

聞かなきゃよかったって後悔した。



「まぁ僕がいくらあがいても叶わぬことはないですが。彼女にはこの学校に想い人がいますから」


「...なんで、田中君がそんなこと知ってるの」



「見ていれば分かります。それにちゃんと自分で聞いて確認しました」



想い人。


やっぱり真実は違うんじゃないかな。


彼氏と切れてなかったのなら、今想い人がいるわけがない。



なら、折原君の気持ちは?

折原君は真実を知っているの?

彼女の気持ちを知っているの?



折原君は誰を想っているの?






もし、誤解をしているのならそれが解けたらまた2人は...






「咲宮さん。人に聞いといて無視ですか?」


「...あぁ、ごめん。無理に聞いてごめんね。これ、返すのはいつでもいいから」



「あなたが、なぜそんなに浮かない顔をしているのかが分かりません。体調でも悪いんですか」



「ううん。大丈夫。私...もう帰るから」