夏葉とお弁当を食べていたベンチから少し離れた木陰の所で田中君は足を止めた。
夏葉を見るとバッチリこっちをガン見してる。
「咲宮さん」
「っ、はいっ」
あーもう!夏葉が告白とか言うから変な緊張感が...
「今日帰ってきたテストの回答用紙を見せてもらえませんか」
...ん?
「回答用紙...?」
「そうです。回答用紙です。咲宮さん君は今回のテストで1位でした。そして僕が2位。入学してからはいつも1位をキープしていました。しかし、今回僕は君に負けてしまった。その理由が知りたいんです」
入学してからいつも1位をキープ...。
いつも私は自分の順位しか見てなかったし、上位を取れればいいって思ってたから上の人なんて誰か見てなかった。
きっちりと閉められたワイシャツの第一ボタンにネクタイを上まであげて、ブレザーのボタンも全部閉めてる。
生徒手帳の校則ページのイラストみたいだ。
こういう人を真面目だというのだろう。
「...すごいね。ずっと1位なんて」
「それは挑発でしょうか。僕の記録は君に破られましたが」
「え、いや、そーゆうつもりで言ってるわけじゃ...」
「ならばどういうつもりで言ったのでしょうか」
あぁ、もう!なんか扱いづらい人だな!
