...だけど、いざ来てみると実感が湧いてすごく緊張するんですけど!
私の家からは歩いて10分くらい。
でも学区が違うからこっちの方に来るのは初めて。
夏葉に連れてきてもらったけど、折原君の家に来てしまったんだ。
来る途中に聞いたけど、夏葉は2年生の時、折原君と同じクラスでそれで仲良くなったらしい。
何度か折原君の家にも遊びに行ったことがあるみたい。
手馴れてる感じで夏葉がインターホンを押すと焦げ茶色の扉が開いた。
だけど、目線の先には誰もいない。
気付いたら夏葉がしゃがんでた。
「奏ちゃ〜ん!久しぶり〜!」
夏葉を見ると前に立つ男の子を撫でている。
もしかして....
「奏!勝手に出ちゃダメだろ!」
奥からバタバタと走ってきた折原君の声が聞こえた。
小さく開いていた扉が開きやっと折原君が見えた。
わ...私服だ。
いつも制服姿しか見たことなかったから少し印象が違う。
家だからカジュアルだけど、黒のパーカーが似合ってる。
「咲宮は会うの初めてだよな、この子は...」
「おりはらかなた!5さい!」
しゃがむ夏葉の横でそう言って私にピースサインをしてニカっと笑うのはやっぱり折原君の弟さん。
話には聞いてたけど、9個も離れてる5歳の弟さん。
目が大きくて、顔も手も小さくて可愛い。でも折原君に少し似てる。
「咲宮美月です。よろしくね奏多君」
「うん!!いらっしゃいませ!入って入って!」
奏多君に手を掴まれて家の中へ引っ張られる。
玄関は広くて、幅の広い階段と廊下が見える。
「俺の部屋は狭いから今日はリビングで」
廊下の突き当たりの扉が開くと、うちのリビングの2倍はあるんじゃないかってくらいの広さに驚いた。
