R e : Y o u



「受験危うし....」


いつもと同じく朝の登校中。
夏葉は低い声でそう呟いた。



「...どうしたの?」


「昨日担任にこのままじゃエスカレーターで高等部に上がれないわよって言われたぁーー!」



涙目で嘆いている。

夏葉はどちらかと言うとあんまり勉強が得意なタイプじゃなくて、というか勉強が好きじゃない。


うちの学校は、中等部から高等部にエスカレーターで上がる人がほとんどだけど
その際はちゃんと入試がある。


それに合格しないと高等部に上がれないって訳だけど、それが危ないって先生に言われたわけか...。



「うわーん!やばいよぉー!美月のおかげでなんとか赤点はしのいでるけど、受験は別だよーー!次のテストで平均なんて無理!」



夏葉のパターンはこう。

基本的には器用なタイプで、前日暗記でも何とかやってこれてる。
前からやればもっと高得点取れるはずなのにやらない。

試験の前日、私の家に来て集中講座。



...それで今までは何とかなってたけど。




「まだ試験まで一週間あるじゃん。今からやれば夏葉なら平均くらい...」


「ダメなの!文字とか数式とか見てると頭がグルグルするの!泣」


これが夏葉の決まり文句である。
こりゃまた前日に勉強かな。




「夏葉ーっ!咲宮ーっ!おはよー!」


後ろからする声に私達は振り向いた。
歩きながら大きく手を振る伶太と折原君。


私達もだけど、2人はいつも一緒に登校してる。相当仲が良い。同じサッカー活だし。



「って、夏葉暗くねっ?朝からテンション低いとやってけねーぞ」


正反対でハイテンションの伶太を夏葉軽く睨んだ。