それからしばらく
朝、会って『おはよう』って言われるとその日1日嬉しくて。
男子たちの中で笑いあってる姿が可愛く見えたり。
委員の仕事が無くても、何となく喋りたくなって。
家でも折原君のことばかり考えてる。
「遅くなってすみません」
職員室で提出期限から3日過ぎた進路希望調査表を藤田先生に渡した。
でも、もちろん親のハンコはない。
「外部校受験...そうか。あ、でも親御さんのハンコがないけど」
「はい。反対されてて。もう一度、話そうと思ったんですけど出張で帰ってこなくて。提出期限過ぎてますし...」
「そうか。でも反対されてても咲宮はそうしたいって思ったんだろ」
提出期限の事を言われるかと思っていたけど、先生は気にしてないみたいだ。
「もう一度ちゃんと説得して、受験して教師になる夢を叶えたいです」
「そうか。じゃあこれは提出しなくていい。咲宮の気持ちは分かったから」
「えっ...」
「分からないことがあったら何でも聞いてくれ。俺に出来そうなことがあったら力になる。それと、三者面談でも一緒に説得してやるから」
「はい...!」
藤田先生がこんなにいい先生だったなんて思ってなかった。
私は返された進路希望調査表と、ついでに皆に配っといてとプリントを渡された。そのプリントの一番上には《中間テスト日程》とあった。
来月頭からテストか。
なんか気が重いなぁ。
なーんて考えながら職員室の扉を開けようと手をかけたら、向こうにいる人のが早く扉を開けた。
「わ、咲宮」
「折原君!」
ードキッ!!
ドキってなんだ、ドキって。
「健二に昼休みプリント取りに来いって呼ばれてて...」
「あ、多分これかな?私先生に用あったから、ついでに貰っちゃった」
折原君は私の手元を見て、貸してとプリントを持ってくれた。
教室までの廊下を二人で歩く。
そんなの普通なことなのに、少し嬉しかったりする。
