「俺は、医者になりたい。リハビリの」
リハビリ...?
「昔、小学校低学年くらいの時に大怪我して、足縫うくらいの。
んで、しばらく走れないし、大好きなサッカーが出来なくなって。でもその時の担当してくれたリハビリの先生が熱い人でさ。
『またすぐサッカー出来るように、走れるようにさせてやる』って言ってくれて。超カッコよくてさ。
その日からリハビリ頑張って今では完全復活。...すげー感謝してる。諦めなくて良かったって」
初めて誰かの夢をちゃんと聞いた気がする。
折原君も私と同じように先生に憧れて、その人ようになりたいって思ったんだね。
きっと医者なんて教師になるよりもきっとずっと大変なのにすごいな折原君は。
「なんか、熱く語っちゃったね。まぁ思ってるだけで現実は...」
「なれるよ!折原君なら絶対なれる!」
気付いたら自分がそう言ったことに私も折原君もびっくりしてた。
でも、直感で絶対だって思ったんだ。
「あ、ありがとう。なんかそんな風に言われたの初めて」
折原君は照れたように笑った。
彼はまた私の知らない顔をした。
「咲宮は?何になりたいの?」
まぁ、人の話を聞いたら自分の話にもなるよね。
「笑わない?」
「笑わない」
「...教師になりたい」
私は何だか折原君の顔が見れなくて目をぎゅっとつぶった。
「うん!想像つく!咲宮なら生徒に人気の良い先生になりそう」
目を開けたら折原君は笑顔だった。
その言葉と顔に少し泣きそうになった。
でも泣くのはかっこ悪いからグッとこらえた。
