「あれ?」

「あっ」

「嘘」

ーー
| 白 |
| 黒 |
| |
| 梨 |
| 琉 |
ーー

「お墓?」

「梨琉の名前が
あるってことは」

「梨琉ここで眠ってるの?」

嘘だよね?

ねぇ梨琉嘘だよね?

「ここに人が
来るなんて珍しいね」

「え?」

「もしかして
梨琉さんの友達?」

「はい」

「どちらさまで?」

「汐莉達は梨琉姉ちゃんの
お参りだよ~」

「………あの
…白黒って書いて
あるんですけど
何か知ってますか?」

「あぁ…それはね」

「白黒って名前は
梨琉ちゃんの旧姓
だよ」

「梨琉さんの
お母さんの名前」

「教えてくれて
ありがとうございます」

「梨琉ちゃんは
最後までお母さん達が
眠ってる場所を
明かさなかった」

「えっ」

「それほど大好きだった
んだろうね…家族が」

「梨琉さんは笑ってた」

「梨琉ちゃんは知ってたんだよ」

「どうして家族が壊れたかを」

「梨琉ちゃんの
血の繋がった父親が
やり直そうってお母さんに
言ったみたいでね」

「断ってるのにしつこくて
それをお母さんは
相談したんだけど
お父さんは嫉妬した」

「その日から喧嘩が
始まったんだよ」

「それを梨琉さんは知ってた」

「だけど梨琉ちゃんは
それに気づかない振りをした」

「子供の自分が入っても
話をややこしくする
だけだから
でも梨琉さんは後悔してる

もしかしたら何か
変わってたかもしれない」

「でも梨琉ちゃんは
それが自分の選んだ道だから
後悔なんてしてない」

「初めての恋も出来たし
友達もつくれた
だからもう後悔してない」

「君たちのお陰だよ」

「おばあちゃん
槙夜お兄ちゃん
早く早く」

「私達はこれで失礼するよ」

「ペコッ」

「ありがとうございました」

「梨琉のこと聞けたな」

「あの人達と
どんな関係なのかが
わからなかったけど」