「な、何言ってるの……」

「ねぇ、いいじゃん。」



異性にこんな風に腕を掴まれたことなんて無かったから、

男子ってこんなに力強いんだ。なんて冷静に感じていた反面、少し怖いと思った。


「じゃ、じゃあほら、4人でここで寝る?
男女で分かれてさ、ベッド2つあるから。」

「俺はお前と一緒に寝たいの。
ほらおいで。」

山口くんはそう言って私の腕を握ったままベッドに横たわり、ポンポンと布団を叩く。


「ちょっ……冗談でしょ?
ほら、助けてよぉ。」

あくまで冗談っぽく笑いながら助けを求めようと、友達に訴える。
さすがに助けてくれるだろうなんて思っていた。



……けれど、


「ご、ごめん。
うちもう早くねたいから、部屋に帰ってるね。」


「え、ちょっ、助けてよ、」

そう言って、友達だと思っていたその子は簡単に私を見捨てて自室へと帰っていった。




「……なんか私今友達に捨てられたよね。」

「おう。じゃあ俺と寝るか。」

「それは違うじゃん。じゃあ私も部屋帰るね。」

「ねぇ、それは違うじゃん。」


腕を掴まれたまま、ベッドの上で繰り広げられる口論。


それに呆れたのか、山口くんとグルなのかは分からないけれど、隣のベッドで他校の男の子はさっさと寝てしまった。


もう逃げられない。と思った。


仕方なく、
「何もしないなら……。」と私が言うと、

「うん、何もしない!!」とキラキラした目で見つめる彼。



ホントかよ……と心でツッコミつつも、なんとかなるはずと甘い考えでしぶしぶ承諾した。