私は、友達と共に京都で行われる留学体験プログラムというものに参加した。

東京からの参加者は、私たちに加えて他校の男の子が1人。

そして同じ学校で、高2から隣のクラスになる男の子、山口翔太くん。

何度か学校では見たことはあったものの、面と向かって話すのは初めてだった。


長身で細くて、そこそこ整った顔立ちをしていて、かっこいいと思った。

「よろしくね、鈴村さん。」

「よ、よろしく。」

私の名前を呼んで、爽やかに微笑む彼。

性格もなかなか好印象で、京都までの道のりでも荷物が多い私たち女子を気遣ってくれたりして、
こんなに優しい男の子って存在するんだ。
なんて、感動していた私。



しかしこいつが、とんでもない野郎だったのだ。











3日間に及ぶプログラムを終えて、ホテルに戻った私たち4人。


夕食と入浴を終えると、

「今日も俺らの部屋でトランプやろうぜ。」
なんて言ってきた男子に、
林間学校みたいなノリで部屋に行った。



1通り騒いで、日付もまわった頃、
そろそろみんなに、眠そうな雰囲気が漂いはじめた。


「じゃあ私たち、そろそろ行くね。」
そう言って私は、
座っていたベッドから立ち上がった……はずだった。



「……え、」

ふと掴まれた手。


「俺と一緒に寝ようよ。」



彼……山口くんはそう言って、より一層私の手を強く握ったのだ。